夢の中で ” キレる “|心当たりが無い ” 怒り “

夢の中で腹を立てている。

叫んだり、暴れたり、誰かに怒っている。
俗に言う ” キレた ” 状態です。

こういった夢を見た場合、日常生活で
蓄積されたストレスが爆発していると
解釈するのが一般的です。

ただ、現代人ならば誰しもが何かしらの
ストレスを抱えているものですし、それを
毎日夢として訴え続けているわけでもない。

なぜ、今のタイミングに夢が作られたのか?

それがストレスと結論づけることは
出来ても、そのタイミングについては、
あまり焦点が当たりません。

それは、蓄積されたストレスがコップに
溢れる水のごとく限界値に達したから
でしょうか?

もしくは、膨張した風船に針を刺すように、
些細な出来事が発端になったのでしょうか?

いずれにせよ、現時点、キャパを越えて
しまいそうなギリギリの状態ならば、
それは、容易に自覚出来ることです。

ただ、ストレスを抱えているように思えない
時にもこうした夢を見ることがある。

それは、なぜか?

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逆ギレする夢

次は、とある会社員の男性が見た
夢の一例です。

上司が自分の仕事に口を挟んでくる。
 
最初は我慢していたが、耐えきれずに
上司の胸ぐらをつかむと恫喝する。

筆者はこの夢の内容に一つ気にかかる点が
ありました。それは、上司が部下の仕事に
口を挟むという部分。

会社の上司ならば、立場上、それは
ごく自然なことのように思えたのです。
それで、彼にそのことを尋ねると、
彼自身も ” 確かに妙だ ” と言う。

彼の話では、夢に登場していた上司は、
職場では部下の仕事をいつもチェック
しますし、彼自身もそれについて、
特に不満を持っているわけではなかった。

そもそも、その上司は、以前、彼と共に
働いていた同い年の同僚であり、今でも
上下関係は無く慣れた付き合いの間柄
ということでした。

ただ、なぜか、夢の中ではキレてしまった。
一体、何がそうさせたのでしょう?

筆者は、彼の仕事内容について、
もう少し知る必要があると感じました。

” 夢の中では具体的にどういったことに
口出しをされたのですか? ”

彼は、筆者の質問について次のように
説明します。

本来すべき仕事以外の仕事をしたことに
ついて ” 余計なことはしなくていい ”
というようなことを言われたと。

” 現実でも、そういったことは
よくあるのですか? ”

そう筆者が尋ねると、彼は、むしろ、
自分の仕事を減らしたいぐらいで、余計な
仕事をするゆとりはないと言います。

現実とは違っているこの奇妙な設定。

小さ過ぎる箱

セッション開始から数日経った頃、
彼が、つい先日、職場であった出来事
について話し始めました。

彼が働いている部署から有能な社員を
引き抜くために、上層部の人間数名が
職場にやってきたと言います。

上司が人手不足の今の状況で現場から
引き抜きは困ると嘆願したが、
聞き入れる様子もなく、一方的に
誰がいいとか、誰は必要ないとか、
人選を始めた。

それを、すぐ横で黙って聞いていた彼は、
理不尽な要求に我慢できず、一言文句を
言おうとした時、不意に背中のシャツが
引っ張られた。

上司が手を後ろに回して、彼を制止した
のです。そのとき、長い付き合いの上司が
何を言いたいのか、彼はすぐに悟り、
上司の面目を潰さないために、喉まで
出かかった言葉を飲み込んだ。

出来事の詳細を一通り説明を終えた後に
彼は筆者に質問をしました。

” これは、夢と関係あるのでしょうか? ”

では、夢の内容と彼の体験した出来事との
関連について見ていきましょう。

夢の中では、彼がキレる理由が、上司が
自分の仕事に口を挟んできたからという
ことになっています。

実際は、彼の働く部署に上層部が口を挟んで
きたという状況です。つまり、
” 組織上層部 ” から ” 自分の働く部署 ” への
介入が ” 上司 ” から ” 自分の仕事 ” への介入
へと置き換えられている。

構図は一致していますが、
スケールが縮小し、簡略化されている。

夢の中では、我慢できずに上司の胸ぐらを
つかむという行動を取っています。

実際は、上層部の要求に我慢出来ずに
一言物申す寸前で上司に止められる。
胸ぐらではなく、背中のシャツを
引っ張られて。

それを口に出してしまえば、彼は立場を
弁えずに ” 余計な仕事 ” をしたことに
なります。

多分、こういう事だったのではない
でしょうか。

彼の潜在意識は今回の許しがたい出来事を
自分と上司の間に起こった小さな揉め事に
置き換えた。

立場を飛び越えて上層部に噛みつきたく
なった衝動を
” 本来はすべきでない余計な仕事 ”
にすり替えて夢の中で処理しようとしている。

長い付き合いの上司ならば、胸ぐらを
つかみかかったところで分かってくれる
でしょう。

もしくは、上層部に逆らえない上司の
不甲斐なさへの苛立ちだったのかも
しれません。

いずれにしても、彼は上司の面目を守る
ために、組織上層部への怒りを
” 上司と部下 ” という小さな範囲に隔離
したのです。

ただし、その小さな箱に無理矢理入れられた
彼の怒りは収まりきらず夢の中で爆発した。

無論、仕事に口を挟まれプライドが
傷ついたという怒りでなく、
” このシチュエーションで収まるわけが
ないだろ! ” という意味の怒りです。

いつもよりは感情的な視点で

つまり、夢の中の彼の怒りは、
今回の出来事に対して前もって取られた
” リアクション ” なのです。

ストレスを抱えているわけでもないのに、
なぜか暴力的な夢を見るという場合、
潜在意識は、これからかかる予定の
ストレスを前もって処理するために
夢を作ることがある。

厳密に言うと、潜在意識は、かかる予定の
ストレスに対する準備をしている
のではなく、出来事を察知した時点で
潜在意識にとっては ” 今そこにある危機 ”
なのです。

この話をすると長くなってしまうので、
また、別の記事で説明するとして、
とにかく潜在意識は、過去と未来を識別
しながら夢を作らない。

単に、必要なものを必要な時に作る
だけです。

ただ、あなたが夢の中でキレていたとして、
そこに心当たりが無かったからと言って、
必ずしも未来の出来事に対するものと
簡単に決めつけることも出来ません。

潜在意識は、どちらかと言えば
理性よりは本能に近い場所にあります。

普通ならば、冷静に対処出来ることで
あっても、夢の中では、必要以上に
感情的な表現を使うこともある。

例えば、誰かに一言チクリと皮肉を
言われたとして、その場では笑って
済ませたとしても、心の底では巨大な
火口からマグマが噴き出しているかも
しれない。

もし、身の周りで憎たらしい人がいた
として、時々 ” 首を絞めてやりたい ”
と思ったとしても、それを実行したりは
しません。

夢の中では、するかもしれませんが。

なので、夢の中で感情が爆発していた
としても、そこで表現されることは、
普段よりも感情的であるということを
踏まえて観察する必要があります。

それが、あなたにとっては些細な
かすり傷であっても、潜在意識にとっては、
思っている以上に深い傷という場合も
あるのです。

 

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