撮影したデジタル画像を
スマホで見ているという夢。
それを指先で拡大したり、スワイプしながら、
何かを探していたり、もしくは、
アプリを使って画像を加工している
という夢もあるかもしれません。
スマホやタブレットなど、
それが最新の端末機器であっても、
日常的に使用するなら、
夢の中に登場するのは必然です。
*
以前は、フィルム式のカメラで撮影したものを
現像した ” 写真 ” がありました。
一枚しかないそれをアルバムに張り付けて、
大切に保管していたのです。
しかし、現代では、
誰もが手軽に撮影することが出来て、
いつでも手元のスマホで見ることが出来る。
そして、簡単に複製することも、
削除することも、デジタル処理
で加工することも可能です。
また、デジタル画像は自分だけの思い出
として撮影された単なる個人の記録に留まらず、
SNSで公開し、多くの ” いいね ” を
得るための情報発信の役割を与えられたり、
ちょっとした用事のためのメモ代わりに
なったりもしている。
つまり、現代人にとって ” 写真 ”
という概念が多様化しているのです。
そして、その変化は、
無論、夢にも影響を与えている。
その解釈も多様化しているのです。
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スマホ操作の手違い
次は、とある女性の見た夢の一例です。
スマホで撮った写真を見ている。
指で弾いて画面を切り替えていく。
なぜか、どの写真も自室の
締め切られたカーテンが写っている。
” なぜ、同じ写真ばっかりなんだろう? ”
そう思って、削除しようとするが、
操作を誤って複製してしまう。
いつの間にか、ゴミ箱のボタンが
消えてしまい、それを探している。
ただ、ひたすらスマホを操作している
というシンプルな夢です。
そして、操作を誤り、無意味な
複製データを削除出来なくなってしまう。
*
さて、人は、どんな時にスマホで
写真を取るのでしょう?
それは、デジタルデータの
記録に過ぎないので気軽に撮ることが出来る。
とりあえず撮っておいて、
必要なければ後から削除してしまえばよい。
人によっては、日常のアーカイブとして
意味も無く撮影することすらある。
筆者は、この夢を見た女性に尋ねます。
” カメラ機能は、日常的に使われますか? ”
彼女は、
” ほとんど写真は撮らない ” と答えます。
” なぜ、写真を撮らないんですか? ”
筆者がそう尋ねると、
彼女は次のように言いました。
” 過去に興味が無いから ”
そして、こう付け加えます。
” 写真に撮って残したいと思うようなものは、
自分の周りには無い ” と。
筆者は、彼女の ” 写真 ” に対する
無関心さが何か夢を解く手掛かりなの
かもしれないと思いました。
ドライな人
セッションの最中にも感じたことなのですが、
彼女の人柄は、強いて言うなら、
いわゆる ” ドライな人 ” という印象でした。
思い出の写真を見て感傷に浸ることもなく、
むしろ、そういった過去を省みる行為を
嫌っているようにも見えたのです。
そんな彼女が、なぜか、
夢の中でスマホ画面の写真をチェックしている。
そこには人でもなく、風景でもなく、
自室のカーテンという、あまり
被写体らしくないものが映っています。
一体、なぜ、このような
夢が作られたのでしょう?
*
筆者は、次のように考えました。
普段は写真を撮らない彼女のスマホに、
今、写真が入っているとしたら、
それは、きっと、
よほど注目に値するものだろうと。
潜在意識は、彼女が普段から
写真を撮らない派だということを
あえて分かった上で、
” スマホに保存した写真 ”
という演出を夢に取り入れたのです。
彼女に、
” 何でもない自室のカーテン ”
に注目させるために。
もし、夢の中で単なる部屋の情景として
カーテンが登場しても、
それは単なる風景の一部です。
いつも持っているスマホに、
入っているはずがないものを入れて、
彼女に気づかせようとしている。
では、潜在意識は、
何を訴えているのでしょう?
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ねじ込まれた問題提起
筆者は、彼女にそこまでの解釈を話し、
次のように尋ねました。
” カーテンについて、何か、
気がかりなことなどはありませんか? ”
彼女の話では、自室のカーテンは、
ここ半年以上、閉め切ったままで、
一度も開けていないということでした。
そして、仕事以外は部屋の中で大半を過ごし、
SNSやオンラインゲームだけの生活を送っていた。
*
筆者は、彼女の話を聞くうちに
自室のカーテンによって締め切られた窓が、
どことなく彼女の心の窓と状況が似ている
のではないかと感じました。
彼女がカーテンを閉め切っているのは、
自分の心の状態が無意識に生活スタイルに
反映された結果なのかもしれません。
この夢は、潜在意識が
心の窓を塞いでいるカーテンを開いて、
光を入れるべきだと訴えているようにも思えます。
*
彼女は夢の中で、写真を削除しようとして、
操作を誤り、逆にコピーしてしまったり、
ごみ箱ボタンが消失して探し回っている。
この場面では、
彼女の中の心の葛藤が描かれています。
心を閉じた今の状態を良くないと
認識している潜在意識が、
” 写真 ” という形でスマホにねじ込んだ
問題提起を現状維持を望む彼女は、削除し、
無かったことにしようとしている。
しかし、潜在意識がそれを許してくれない。
one by one
さて、今回の夢は、彼女の抱えている
個人的な問題意識が描かれています。
彼女がどういった生活を送っていたか、
スマホで写真を撮らないという主義、
そういった彼女特有の ” 個性 ” が反映されている。
これは彼女に限った特別なケース、
ということではありません。
無論、あなたが見た夢も
あなたにしか当てはまらない特別なケースなのです。
誰しも。
そして、夢とは、それ以外の
方法で作られることは無いのです。
考えてみてください。
もし、夢を見た人が、
メモ代わりに写真を撮る習慣があるならば、
もし、別れた恋人の写真を削除出来ずに、
ずっと保存したままなら、
もし、これまで撮った膨大な画像データが
クラウドサービスに保存されているとしたら、
もし、その人が多くのフォロワーを抱える
インスタグラマーなら、夢の中の ” 写真 ” は、
どう解釈すればよいのでしょう?
お決まりの答えなど無いのです。
それは、一つ一つ、その人の個性に合わせて
解釈していくしかない。
あなたにとって、
” 写真 ” は、どんな意味を持っているでしょう?
あなたが当たり前だと思っていることは、
他人から見ると、
案外、特殊な視点だったりするものです。
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