パソコンが夢に登場するといった場合。
古来から伝わる伝承を元にした夢占いという分野では、現代的アイテムは解釈が難しいものの一つです。
動物や植物、太陽、月などとは違い、スマホやタブレットと同じく、古い時代には存在しないアイテムですから模範的な解釈がありません。
では、夢の中のパソコンは、どう解釈していけばよいのでしょう?
まずは、夢を見た人のパソコンの利用用途について考えてみる必要があります。つまり、ケースバイケースで判断していくということです。
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終わらないアップデート
次は、とある男性が見た夢の一例です。
数日前に起動したパソコンの更新が終わらない。
小さな丸が画面中央で、ずっとクルクル回っている。
自分は再起動をかけるべきか迷っている。
夢の中で起動したパソコンのWindowsアップデートが、数日経っても終わらないという奇妙な夢です。
彼は自宅にデクストップ型PC一台と、ノートPC一台の計二台を所有していました。
夢に出てきたのはノートPCの方で、そちらは音楽や映画鑑賞、SNSのチェックなど、プライベート用のPCとして使っていた。
また、彼は在宅で自営業を営んでおり、デスクトップ型PCは、主に仕事で使うということでした。
このことから、この夢が何となくプライベートに関することを描いているようにも思えます。
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筆者は彼に、次のように質問しました。
「ノートPCの使用頻度は、どれぐらいですか?」
彼は、ほぼ毎日だと答えます。
しばらく起動していないパソコンを久しぶりに起動すると、溜まっていたアップデートが始まって、長時間使うことが出来ないということがありますが、彼は、ほぼ毎日ノートPCを起動しており、OSは常に最新の状態でした。
故障の兆候もなく、何の問題も無い状態だった。
夢の中では、なぜか、大量のアップデートで数日間かかっても更新が終わらないという異常事態が発生しています。この点が謎です。
筆者は、潜在意識が、彼の抱えている何らかの問題をノートPCの問題に置き換えているのではないかと思いました。
それから、彼に次の質問をしました。
「プライベートで、何かやり残していること、溜め込んでいることなどはありませんか?」
彼は、プライベートでは思い当たることは無いが、ここ数日間、仕事が重なって、今はプライベートの時間が削られてしまっていると答えます。
筆者はそれを聞き、解釈に誤りがあることに気付きます。
二つの置き換え
この夢は、彼のプライベートに関する夢ではなく、仕事に関するものです。つまり、夢の中で処理し続けている無限アップデートは ” 終わらない仕事 ” を意味している。
潜在意識は、彼の置かれた窮状をパソコンのアップデートという形に置き換えています。
OSのアップデートならば、何もせずに待っていれば、いつかは完了する。ただ、夢の中では、数日経っても完了していません。
夢を作った彼自身が、それが本当はOS のアップデートではなく、ただ待っているだけでは終わらない実生活のタスクだということを自覚しているのです。
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さて、ここで疑問。
夢の中では、アップデートの犠牲となっているのは、プライベート用のノートPCであって、仕事用のPCではありません。
これが仕事に関する夢ならば、本来は、仕事用のPCが犠牲になるはずです。なぜ、ノートPCを犠牲にしたのでしょう?
潜在意識が夢を組み立てるプロセスについて、順を追って考えてみます。
潜在意識には ” 現実世界の問題を別の問題にすり替えて、あたかも問題は解決されたかのように思わせる ” というタスクが与えられています。
彼にとっての現実世界の問題とは ” 終わらない仕事 ” ですから、それを ” 終わらないアップデート ” に置き換えることで、放置しておけば自動的に仕事を片付けてくれるという都合のよい状況を作れます。
この ” 置き換え ” によって、彼の抱える負担を軽減することができる。ただ、それは、疑似的解決に過ぎません。
ここまでのプロセスでは、仕事用のPCに与えられたタスクを ” 日常業務 ” から ” アップデート ” に交換しているだけです。
つまり、問題の所在地は、依然として仕事用のPCであることには変わりません。仮に、潜在意識がそれでよしとした場合、夢の中で犠牲になるのは、仕事用のPCです。
しかし、潜在意識は、もう一つ、演出を追加している。
犠牲になるPCを仕事用から、プライベート用のノートPCに置き換えています。つまり、この夢では、二度の ” 置き換え ” が行われています。
仕事とプライベートのバランス問題
彼の仕事は、一日中PCの前に座って行う仕事です。つまり、OSのアップデートは過密スケジュールに割り込んできた厄介なタスクというわけです。
夢の中では、” 日常業務 ” が ” アップデート ” に置き換わっていますから、本来の仕事は消えて無くなると考えることはできる。
ですが、先ほども言ったように、これは疑似的な解決であり、現実世界の問題が綺麗さっぱり無くなるわけではありません。それは、夢の作り手である彼自身も自覚している。
” とりあえず、アップデートに置き換えてみたが、結局、終わらないじゃないか ”
ここで、もう一つの ” 置き換え ” が必要になってきます。潜在意識は、問題の所在を仕事用から、プライベート用のPCに移転します。
それによって ” 終わらないタスク ” は、永久にほっておいても大きな問題にはならない。プライベートにPCが使えなくなるだけです。
また、この置き換えによって、仕事のせいでプライベートの時間が犠牲になっているという現実の状況を、用途の違う二つのPCを使って象徴的場面として再現しています。
” 犠牲になっているのは私生活ではなく、ノートPCの話だ ” と問題を矮小化して ” 取るに足らないこと ” にしようとしている。
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では、最後の場面、彼は再起動をかけようか迷っているという部分は、どう解釈すべきでしょう?
windowsアップデート中は電源を落としてはいけないと表示されます。もし、実行すればパソコンが壊れてしまうかもしれない。
夢の作り手である彼自身は、そのノートPCが、実際は、プライベートでもなく、PCでもないことを薄々理解しています。故に、ボタンを押すのを躊躇っている。
彼が今の仕事に疲れているとしたら、再起動ボタンを押して、今の生活の全てを ” 0 ” にしてしまいたいという気持ちがあったのかもしれません。
それぞれの事情、そして、解釈
さて、今回はパソコンの夢について解説しましたが、この解釈は、彼の置かれた状況に合わせたものです。
夢を見た人が、パソコンをどのような用途で使用しているかは、一人一人違うでしょうから、それによっては、夢の中のパソコンの意味は変わるでしょう。
しかも、パソコンは他のアイテムに比べて用途が広範囲です。例えば、時計や鉛筆などは用途が限定されている。時計なら時間を確認するためのものですし、鉛筆は何かを書くためのものです。
パソコンの場合は、株式投資をする人もいれば、音楽を聴く人、SNSで情報発信をする人、恋人探しをする人もいます。
それをどう使うかによっては、その人にとって ” パソコン ” がどういった意味なのかを探っていく必要があるのです。
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例えば、次のような夢を見たとしましょう。
パソコンの電源を入れるが起動しない。
何度か、電源ボタンを押してようやく起動するがブルースクリーンになって先に進まない。
この夢を見た人が、仕事でパソコンを使っているならば、夢の意味は、仕事をしたくない気持ちの表れと読むことが出来ます。
もし、SNSの更新に疲れている人が見た夢ならば、SNSから距離を置きたいという心理と読むことも出来る。
もし、ネットショッピングを中心に使っている人なら、” 最近、買い過ぎている ” という自身を戒める潜在意識からの警告と考えることもできます。
同じ内容の夢であっても、人それぞれの置かれた状況によって解釈は変わる。
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もし、あなたの夢にパソコンが登場したならば、それをどのように使っているか思い返してみてください。
そして、パソコンだけではなく、自分の日常生活についても振り返ってみましょう。
例えば、あなたが一年に一度、年賀状を印刷する時にだけそれを起動するというなら、夢の中のパソコンは ” 唯一の役割 ” もしくは、” 何かの節目 ” を表しているのかもしれません。
例えば、あなたがサポート期限が過ぎた古いパソコンを今でも使っているというなら ” 捨てきれない何かに対する執着 ” もしくは、” 周囲の環境についていけない心理 ” を意味しているかも知れない。
全ての夢は、それぞれが抱える事情を踏まえながら読み解いていくしかないのです。
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