眠る前に本を読むといいと聞きますが、
何を読むかによります。
筆者の場合、小説を読み始めると、
話の先が気になりだして、返って
眠れなくなってしまう。
就寝前に頭を使わないで済む
ほどよい内容の本というのがあれば・・
適度に軽く、適度な長さの。
いつもは夢の世界のややこしい話を
することが多いのですが、今回は、
何も考えずにぼんやり読める短い話を
いくつかまとめてみました。
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隣のトトロ
” となりのトトロ ” は、多分、誰もが知って
いるジブリ作品ですが、映画を観た誰もが、
あの不思議な生き物と一度は、遭遇して
みたいと思ったのではないでしょうか。
それは、ともあれ、一体、
” トトロ ” って何なんでしょう?
一説では、ノルウェーの神話に登場する
妖精トロールがモデルだとも言われて
いますが、アニメ映画のマメ知識は、
他のウェブサイトにお任せするとして、
ここでは、少し別の視点でトトロについて
考えてみたいと思います。
*
トトロの凄さとは、空が飛べることでも、
魔法が使えることでもなく、主人公の姉妹、
さつきとメイとの絶妙な ” 距離感 ” です。
妖精と言うより、一歩間違えば怪物の
ようにも見える姿。
そして、いつもそばにいるわけじゃなく、
気が向いたときにだけ姿を現す。
なのに、子供たちの心をガッチリと
つかんでしまう。
さつきとメイだけじゃなく、この映画を
観た多くの子供たちがその心を奪われた
ことでしょう。
そして、横に座って、一緒に見ていた
パパたちは思うのです。
” あいつはいいよな。たまに出てきて
魔法を使って帰るだけなんだから・・ ”
*
さて、娘に冷たくされて、しょげている
パパたちのことは置いておくとして、
映画 ” 隣のトトロ ” の中で、結局、
トトロがしたことと言えば、メイが
行方不明になったときに、猫バスを
呼んで一緒に探してあげただけです。
色々な名場面が思い浮かびますが、
そのどれもが夢の中のような出来事
として描かれている。
実際には、トトロは、
ほとんど何もしていないのです。
*
映画の中の様々な出来事は、本当は、
さつきとメイが自分たちの力で
乗り越えていった。
” トトロ ” という実体なき幻想に力を
借りながら。
子供が、何かを乗り越えながら大人に
なっていく。そのたくましさ、強さの鍵は、
実は、その想像力にあるのかもしれません。
身近な例で言えば、夜一人で眠れるように
お気に入りの人形を傍に置くのもそうです。
寂しさを紛らわすために、人形に名前を
つけて話しかけるのも、ある意味、
子供たちが自然と身に着けた試練を克服
するための ” 知恵 ” なのかもしれません。
母と子
筆者が書店を訪れた時の出来事です。
書棚の向こう側から子供の泣き声が
しました。
丁度、通路が交差した真ん中に
3歳ぐらいの小さな男の子が両腕を
投げ出し、床に座り込んでいた。
天井に顔を向け、大きな口を開けて、
疲れた様子で力無く泣き続けている。
しばらくすると、書棚の影から母親が
現れ、男の子を落とし物を拾うかの
ように無言で抱きかかえます。
男の子は、ピタッと泣き止み、
疲れ切った表情で母親の肩に顎を乗せて、
目を真っ赤にしながら鼻をすすって
いました。
*
それから、母親は男の子を抱っこ
しながら、しばらく棚に並んだ本を
眺めていましたが、腕が疲れたのか
何度か態勢を整えながらも、子供を
降ろしたがっているようでした。
すると、子供は母親の肩越しから、
遠くに何かを見つけたらしく、突然、
” 降りる ” と言い出す。
母親は、助かったとばかりに、子供を
下に降ろすと書棚から一冊の本を手に
取って読み始めました。
子供は走って、
また、書棚のどこかに消えてしまった。
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うちの猫
家に一匹、猫を飼っていまして、
書斎というほどのものではありませんが、
部屋の一画に設置したデスクトップPCで
記事を書いていると向こうから、
” ニャア、ニャア ”
と呼びつけるような鳴き声が聞こえて
くるのです。
いつものことだから、しばらく無視を
してキーボードを叩いていると、
延々と鳴き続ける。
餌もちゃんと与えてますし、食事の
時間というわけでもない。
集中が出来ないのでやもえず、作業を
中断し、重たい腰を上げて鳴き声の方
に行くのです。
*
筆者がリビングに姿を現すと、ドアの
前に座り込んでいた猫はすかさず踵を
返して逃げていく。
” 何なのさ ”
猫は、2mほど先で振り返ると、
再びしゃがみこんで、ぱっちりした目で
こちらを眺めている。
抱っこしてあげようと近づくと、再び、
お尻を向けて逃げていく。
仕方なくソファーで休憩することに。
暫くすると、猫は、丁度、捕まらない
ほどの距離を保ちつつ、少し離れた
位置でスフィンクスのような姿勢に
なって寝そべるのです。
そして、虚空を見つめている。
別に何の用も無いのです。ただ、
呼んでみただけ。
腰を上げて作業に戻ると、また、
呼ばれることは分かっているのです。
だから、いつも休憩は長引いてしまう。
子供の頃の記憶
夕暮れ。校庭の上空に幻想的な
芸術作品が出現するのです。
多くの鳥の群れが塊となって、
同じ場所を飛び回っている。
さながら巨大なアメーバのように
刻々と姿を変えながら、
オレンジ色の夕暮れに浮かび続ける。
不思議な光景でした。
*
なぜ、バラバラにならないのだろう?
群れをまとめるボスがいて、
指揮をとっているわけでもなく、
何か、一羽一羽が見えない糸で
繋がっているかのように。
たまに、端を飛んでいる鳥が軌道から
外れて、群れから飛び出してしまう。
でも、旋回飛行をしてちゃんと群れに
戻ってくる。
鳥の習性の連鎖によって作られる
絶え間なく生み出されるランダムな
形状を見ていると、自然の神秘を
感じます。
*
そして、空が暗くなる頃、その数は
次第に減り、静かに消えていく。
校庭で遊んでいた少年たちも
自転車に跨って、それぞれの家路につく。
帰り際に、少年の一人が振り返って叫ぶ。
” また、明日も集まって遊ぼうぜ! ”
それに答える声。
明日も、きっと同じ奴らが集まって、
この場所でボールを蹴ったり、
投げたりして、日が暮れるまで遊ぶ
のでしょう。
そして、次の日も、その次の日も・・
子供の頃のように
就寝前のインターネット。
ブルーライトが睡眠に悪影響という
話もありますが、このまま、一日が
終わってしまうのが何だか寂しい
気がして、目を閉じる前に一つ動画を
見ておこう・・みたいな。
良くない習慣だと思いながら。
*
一番幸せな就寝前って何でしょう?
少し、考えてみました。
やっぱり、子供の頃みたいに、
いつの間にか寝てるというのが、
一番、いいんじゃないかと思います。
一日をワーっと生きて、
バタっと倒れて気が付いたら寝てる。
大人は何かにつけて考え過ぎる。
と言いつつ、筆者もそうなんですが・・
そして、考え過ぎる日は、決まって
眠りが浅い。
次の朝が辛いんです。
子供のように、ぐっすり眠ることが
出来ればいいんですが・・
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