就寝前の小さなエピソード|それぞれの距離感

眠る前に本を読むといいと聞きますが、
何を読むかによります。

筆者の場合、小説を読み始めると、
話の先が気になりだして、返って
眠れなくなってしまう。

就寝前に頭を使わないで済む
ほどよい内容の本というのがあれば・・

適度に軽く、適度な長さの。

いつもは夢の世界のややこしい話を
することが多いのですが、今回は、
何も考えずにぼんやり読める短い話を
いくつかまとめてみました。

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隣のトトロ

” となりのトトロ ” は、多分、誰もが知って
いるジブリ作品ですが、映画を観た誰もが、
あの不思議な生き物と一度は、遭遇して
みたいと思ったのではないでしょうか。

それは、ともあれ、一体、
” トトロ ” って何なんでしょう?

一説では、ノルウェーの神話に登場する
妖精トロールがモデルだとも言われて
いますが、アニメ映画のマメ知識は、
他のウェブサイトにお任せするとして、
ここでは、少し別の視点でトトロについて
考えてみたいと思います。

トトロの凄さとは、空が飛べることでも、
魔法が使えることでもなく、主人公の姉妹、
さつきとメイとの絶妙な ” 距離感 ” です。

妖精と言うより、一歩間違えば怪物の
ようにも見える姿。

そして、いつもそばにいるわけじゃなく、
気が向いたときにだけ姿を現す。

なのに、子供たちの心をガッチリと
つかんでしまう。

さつきとメイだけじゃなく、この映画を
観た多くの子供たちがその心を奪われた
ことでしょう。

そして、横に座って、一緒に見ていた
パパたちは思うのです。

” あいつはいいよな。たまに出てきて
魔法を使って帰るだけなんだから・・ ”

さて、娘に冷たくされて、しょげている
パパたちのことは置いておくとして、

映画 ” 隣のトトロ ” の中で、結局、
トトロがしたことと言えば、メイが
行方不明になったときに、猫バスを
呼んで一緒に探してあげただけです。

色々な名場面が思い浮かびますが、
そのどれもが夢の中のような出来事
として描かれている。

実際には、トトロは、
ほとんど何もしていないのです。

映画の中の様々な出来事は、本当は、
さつきとメイが自分たちの力で
乗り越えていった。

” トトロ ” という実体なき幻想に力を
借りながら。

子供が、何かを乗り越えながら大人に
なっていく。そのたくましさ、強さの鍵は、
実は、その想像力にあるのかもしれません。

身近な例で言えば、夜一人で眠れるように
お気に入りの人形を傍に置くのもそうです。

寂しさを紛らわすために、人形に名前を
つけて話しかけるのも、ある意味、
子供たちが自然と身に着けた試練を克服
するための ” 知恵 ” なのかもしれません。

母と子

筆者が書店を訪れた時の出来事です。

書棚の向こう側から子供の泣き声が
しました。

丁度、通路が交差した真ん中に
3歳ぐらいの小さな男の子が両腕を
投げ出し、床に座り込んでいた。

天井に顔を向け、大きな口を開けて、
疲れた様子で力無く泣き続けている。

しばらくすると、書棚の影から母親が
現れ、男の子を落とし物を拾うかの
ように無言で抱きかかえます。

男の子は、ピタッと泣き止み、
疲れ切った表情で母親の肩に顎を乗せて、
目を真っ赤にしながら鼻をすすって
いました。

それから、母親は男の子を抱っこ
しながら、しばらく棚に並んだ本を
眺めていましたが、腕が疲れたのか
何度か態勢を整えながらも、子供を
降ろしたがっているようでした。

すると、子供は母親の肩越しから、
遠くに何かを見つけたらしく、突然、
” 降りる ” と言い出す。

母親は、助かったとばかりに、子供を
下に降ろすと書棚から一冊の本を手に
取って読み始めました。

子供は走って、
また、書棚のどこかに消えてしまった。

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うちの猫

家に一匹、猫を飼っていまして、

書斎というほどのものではありませんが、
部屋の一画に設置したデスクトップPCで
記事を書いていると向こうから、

” ニャア、ニャア ”

と呼びつけるような鳴き声が聞こえて
くるのです。

いつものことだから、しばらく無視を
してキーボードを叩いていると、
延々と鳴き続ける。

餌もちゃんと与えてますし、食事の
時間というわけでもない。

集中が出来ないのでやもえず、作業を
中断し、重たい腰を上げて鳴き声の方
に行くのです。

*

筆者がリビングに姿を現すと、ドアの
前に座り込んでいた猫はすかさず踵を
返して逃げていく。

” 何なのさ ”

猫は、2mほど先で振り返ると、
再びしゃがみこんで、ぱっちりした目で
こちらを眺めている。

抱っこしてあげようと近づくと、再び、
お尻を向けて逃げていく。

仕方なくソファーで休憩することに。

暫くすると、猫は、丁度、捕まらない
ほどの距離を保ちつつ、少し離れた
位置でスフィンクスのような姿勢に
なって寝そべるのです。

そして、虚空を見つめている。

別に何の用も無いのです。ただ、
呼んでみただけ。

腰を上げて作業に戻ると、また、
呼ばれることは分かっているのです。
だから、いつも休憩は長引いてしまう。

子供の頃の記憶

夕暮れ。校庭の上空に幻想的な
芸術作品が出現するのです。

多くの鳥の群れが塊となって、
同じ場所を飛び回っている。

さながら巨大なアメーバのように
刻々と姿を変えながら、
オレンジ色の夕暮れに浮かび続ける。

不思議な光景でした。

なぜ、バラバラにならないのだろう?

群れをまとめるボスがいて、
指揮をとっているわけでもなく、
何か、一羽一羽が見えない糸で
繋がっているかのように。

たまに、端を飛んでいる鳥が軌道から
外れて、群れから飛び出してしまう。

でも、旋回飛行をしてちゃんと群れに
戻ってくる。

鳥の習性の連鎖によって作られる
絶え間なく生み出されるランダムな
形状を見ていると、自然の神秘を
感じます。

そして、空が暗くなる頃、その数は
次第に減り、静かに消えていく。

校庭で遊んでいた少年たちも
自転車に跨って、それぞれの家路につく。

帰り際に、少年の一人が振り返って叫ぶ。

” また、明日も集まって遊ぼうぜ! ”

それに答える声。

明日も、きっと同じ奴らが集まって、
この場所でボールを蹴ったり、
投げたりして、日が暮れるまで遊ぶ
のでしょう。

そして、次の日も、その次の日も・・

子供の頃のように

就寝前のインターネット。

ブルーライトが睡眠に悪影響という
話もありますが、このまま、一日が
終わってしまうのが何だか寂しい
気がして、目を閉じる前に一つ動画を
見ておこう・・みたいな。

良くない習慣だと思いながら。

一番幸せな就寝前って何でしょう?

少し、考えてみました。

やっぱり、子供の頃みたいに、
いつの間にか寝てるというのが、
一番、いいんじゃないかと思います。

一日をワーっと生きて、
バタっと倒れて気が付いたら寝てる。

大人は何かにつけて考え過ぎる。
と言いつつ、筆者もそうなんですが・・

そして、考え過ぎる日は、決まって
眠りが浅い。

次の朝が辛いんです。

子供のように、ぐっすり眠ることが
出来ればいいんですが・・

 

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