夢の中の ” 過去の人々 “|以前、働いていた会社

過去の人物が登場する夢。
昔の恋人や学生時代の旧友、恩師など。

一説では、夢は” 記憶の整理 ”
とも言われています。

ただ、何年も前の、場合よっては、
何十年も前の人物が脈絡もなく夢に登場する。

さて、そんな大昔の人物を
今さら引っ張り出して ” 記憶の整理 ”
をする必要があるのでしょうか?

そんな古い記憶は既に整理を終えている
ような気もします。

過去を持ち出して潜在意識は、一体、
何をしようとしているのでしょう?

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すでに終わっている過去

次は、夢の一例です。

宴会の席で酒を飲んでいる。
 
座っているのは、
以前、働いていた会社の面々。
 
自分は社長と働き方について議論している。

この夢を見た男性は、
二年前に会社を辞めており、
現在はフリーランスとして働いていました。

そして、その会社とは、
その後、全く交流は無い状態。

彼は、なぜ、今頃、
昔働いていた会社の夢を見たのでしょうか?

*

過去の人物や場所が夢に登場した場合、
まず、最初に考えることは、

その過去について何かやり残したことがあり、
それが小さな骨となって、ずっと心の底で
引っかかっているという見方です。

例えば、昔の恋人が夢に表れた場合、
未練や後悔がまだ残っているとか、
前に言われた誰かの一言が忘れられないといった・・

もし、過去にそうしたやり残したこと、
体験したことがトラウマや人生の分岐点として
現在の人生に影響を与えているというなら、
夢に過去の人物が登場するという事は
あるかもしれません。

しかし、そんな過去に心当たりが無い
という場合でも過去の人物が夢に登場する。

*

筆者は尋ねます。

” 前の職場に関連したことで、現在、
問題になっていることに何か心当たりは?”

彼は次のように答えました。

” 今やっていることは、
以前、働いていた職場とは全く違う職種なので、
関係がありそうなことは何も無いと思うのですが・・ ”

” 前職に復帰することを考えたりは? ”

” それは、ありませんね。頼まれても嫌です ”

” では、前職でやり残したことは無いと? ”

” ありません。
僕の中では既に終わった過去です ”

最大の疑問

過去の人物が登場する夢における最大の疑問は、

なぜ、今頃、出てきたのか?
ということです。

もちろん、それは記憶の整理ではない。

” 今頃 ” という夢が作られた
タイミングはとても重要な点です。

夢は何かをきっかけに作られるものですから、
現在に何か問題が発生した、もしくは、
発生していると考える方が自然です。

現在の問題を処理するために、
必要になった過去の記憶を一時的に
引っ張り出している。

この場合、” 過去 ” は、
現在に対処するための材料の一つに過ぎない。

*

筆者は、まず、夢の内容の詳細を
知る必要があると思いました。

” 夢の内容が飲み会ということでしたが、
それは、どういう名目の会だったのでしょう? ”

彼は言います。

” そこが、よく分からないんです。
自分の送別会はすでに終わっている
という認識だったので・・・ ”

” 退社をする時に実際に送別会はされましたか? ”

” はい、もう二年も前の話ですが・・”

” 会場は同じ場所ですか? ”

” いえ、違うと思います。
夢の中では架空の場所でした ”

*

夢の中で曖昧なシチュエーションに
疑問を持つことはよくあることです。

そして、その曖昧な設定は、
しばしば夢の中で重要な ” 鍵 ” となる。

それは、単なる記憶違いではなく、
潜在意識の意図的な演出の一つです。

” 過去とは関係なく現在のお仕事で
何か抱えている問題に心当たりはありますか? ”

” そうですね。
これといった問題はありませんが、
やはり、フリーランスは不安定なので
そこが不安の種ですかね・・ ”

” 順調では無いのですか? ”

” どうなれば順調と言えるかが、
正直分からないので・・もしかしたら、
一生こういった不安定の中で仕事をしなければ
いけないのかとも思ってるんです ”

そして、付け加えて次のように言いました。

” 自分が選んだ働き方なので、
前のような会社勤めに戻るつもりはありません。
それは僕にとって甘えです。
逃げ場を作りたくないんです ”

筆者は彼の話を聞きながら、
そこに自立心の強い人柄を感じました。

今回の夢は、果たして何を意味しているのか・・

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必要とされた ” 過去 “

彼は ” 働き方 ” の正解を求めていたのです。

組織に帰属した働き方、
それとは対照的にフリーランスという働き方、
彼は、この二つの働き方をすでに体験している。

フリーランスの厳しさを今ひしひしと感じながら、

” 本当はどちらの働き方がいいんだろうか? ”

という疑念が夢によって表現されています。

組織に帰属した働き方を
実践している人々の象徴として、
以前の会社の面々が登場します。

そして、その代表である経営者と
働き方の議論をしている。

議論は自分がフリーランスの長所を主張し、
経営者は会社勤めの長所を主張する
という内容だった。

しかし、この夢を作ったのは彼自身。

経営者の主張は、
彼自身の主張でもあるのです。

” もしかして、
フリーランスに転身したのは誤りでは? ”

という彼の中の否定的な考えを
経営者が代弁しています。

*

いずれにせよ、現在、彼が抱えている
問題を夢の中で処理するためには、
” 組織に帰属する働き方 ”
の象徴が必要だった。

過去の記憶にあった丁度良い存在に
白羽の矢が立った。

以前、働いていた会社の同僚たちや経営者という。

この夢は二年前の送別会を再現しているわけではなく、
現在、彼が抱えている問題を描いているのです。

曖昧な空間

さて、先ほど触れた夢の中の
曖昧な設定について考えてみましょう。

夢の中で過去の送別会を再現している
ように見せてはいるが実際はそうではない。

今回の夢の舞台となった ” 架空の飲み会 ”
という曖昧な空間は、
一体、何を意味しているのでしょう?

*

筆者は、尋ねました。

” 夢の中であなたは会社に
まだ勤めているという認識だったのでしょうか?
もしくは、辞めた後に開かれた会だった
ということでしょうか?”

” 辞めた後の認識があったと思います。
それも直後ではなく、
かなり前にという認識でした・・ ”

” つまり、あなたは二年前に
辞めたはずの会社の飲み会に
参加していたということですか? ”

” 今思うとゲストという感じで
参加していた気がします。
しかし、変ですね。飲み会のゲストなんて・・ ”

*

この過去の宴のようでもあり、
現在でもあるという曖昧な空間は、
潜在意識により用意された
抽象的シチュエーションです。

つまり、組織に帰属した人生と、
フリーランスという人生の ” 中間地点 ”
を表している。

もし、この夢の舞台が会社の会議室や、
同僚たちが仕事をしているオフィスだった場合、
彼は組織に帰属した人生の中に
身を置くことになります。

それでは、フリーランスという道を選んだ
現在の自分の生き方を否定してしまう。

ゆえに、会社でもなく現在の環境でもない、
仕事とプライベートの間にある
” 飲み会 ” という曖昧な設定が選択された。

彼は会社には帰属していないが、
あくまで部外者からのゲストという名目で
” 会社の飲み会 ” という催しに
参加しているわけです。

この部外者でありながら会社に属する
という中間的なシチュエーションの中で
彼は葛藤しているのです。

何が正しいのか。

夢が ” 今 ” 作られる理由

潜在意識は目的を持って夢を作ります。

不安を緩和するためであったり、
今後、起こる出来事に対して
心の準備するためであったり、

目的は様々ですが潜在意識が意味も無く、
過去を再現することは無いのです。

今回の夢は、
過去を再現しているように見せかけながら、
実際には、彼が現在、抱えている問題に
焦点を当てています。

もし、あなたの夢に過去の人物が登場したら、
過去の思い出を詮索するよりも、
現在抱えている問題や今後起りえる出来事などを
一度、頭の中で整理してみてください。

” なぜ、今頃? ”

と思うような場合、
それは、今必要だから夢になるのです。

潜在意識は一般的に思われているほど、
過去に囚われているわけではありません。

 

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