学生時代が夢になる時| ” 過去 ” に戻る心理

社会人になってからも、
学生時代の夢を見ることがあります。

かつての校舎や教室が再現されて、
そこで何かしらのストーリーが展開する。

大学のキャンバスであったり、
小学校の校舎だったり、それぞれの時代に
その人の思い出がある。

こういった夢は、一見すると、
大人になりきれない自分を描いている
ようにも見えますが、必ずしも
学生時代の夢の全てが自身の中の
” 子供っぽさ ” を表しているとは限りません。

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中学時代へ

次は、とある女性が見た夢の一例。

放課時間の騒がしい教室。
 
何人もの他のクラスの生徒が
勝手に入ってきてお菓子を食べ散らかす。
 
見知らぬ女生徒二人が私に話しかけてくる。
話の内容が分からなくて困惑している。
 
時計を見ると、もう少しで授業が始まる。

学生時代に戻り放課時間を教室で過ごす
というシンプルなストーリー。

さて、この夢の内容だけでは
何を意味しているのか分かりません。

筆者は、彼女に近況を含めて、
プライベートに関していくつかの質問をしました。

仕事の状況、家庭の問題、恋愛について。

その中で、特に気になったのは、
彼女の交友関係についてでした。

彼女には、LINEで多くの友人と日常的に
やり取りをしているという経緯がありました。

彼女は周りに人が集まりやすいタイプの人柄で、
友達を紹介してあげたり、飲み会を催したりして、
幅広い人脈を持っていた。

そのために、常にLINEで
多くのメッセージを処理していたのです。

この事情を踏まえると、
夢の意味が何となく見えてきます。

*

夢の舞台となったのは中学校の教室ということで、
彼女の中学生時代を再現しています。

そして、彼女が中学生のときには、
まだ、LINEは存在していなかった。

潜在意識は、あえて、LINEが存在していない
時代を夢の舞台に選んでいる。

彼女は最近になり、メッセージを
返信できないことが多くなっていると言います。

それは、これまで築いてきた人脈が、
ここ最近、急に拡大して、送られてくる
メッセージの数が尋常ではなくなってきている
ということが原因でした。

” ちょっと、
キャパオーバーになってきているみたいで・・ ”

” つまり、お友達が増えてしまって、
メッセージを処理出来なくなっていると? ”

” ええ、少し前にイベントを企画しまして、
そこで結構な人が集まって、
それが、きっかけだと思います ”

” 何のイベントですか? ”

” 女性限定のボードゲーム大会です。
いつもの女子会で古いボードゲームを
引っ張り出してやったら案外盛り上がって、
それから、自分の周りに、結構、
ボードゲーム女子がいることを知りまして、
募集をかけたら思った以上に人が
集まってしまって・・”

” グループは何人ぐらいですか? ”

” 今、多分、4、50人ぐらいですかね・・ ”

” その一人一人と
連絡を取り合ってるんですか? ”

” ええ、まあ、全員ではないですけど・・
メッセージは他愛無い話がほとんどですが、
誰に対しても、なるべく誠意をもって
接していきたいと思ってるので・・”

人との関係を重んじる彼女は、これまで
丁寧に返信するように心がけていたが、
最近では見落としたリ、ちゃんとした返事が
返せなかったりと、LINE自体が憂鬱の種
となっていたのです。

” 既読スルーといったことは? ”

” それはありません。
今は見落としが無いがチェックして、
遅くなっても必ず何か返しています ”

筆者は彼女の話を聞きながら、
なぜ、この人の周りに人が集まるのか、
それを何となく理解できた気がしました。

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避難所としての ” 時代 “

潜在意識は、携帯電話の持ち込みが禁止
されていたLINEの無かった中学時代を再現し、
そこに自分の身を置いています。

” LINE 疲れ ” を感じていた彼女にとっては、
唯一、現在の友達との繋がりから逃れることが
出来そうな ” 避難所 ” だった。

さて、夢の中で放課時間の教室は、
騒がしく落ち着けるような場所としては
描かれていません。

勝手に部外者が入ってきて、
自分のクラスを菓子くずで汚していくのです。

唯一の避難所にまで入り込んできた
問題が彼女を苦しめている。

この夢における ” 教室 ” は、
彼女のプライベートな領域を表しています。

あまり親しくも無い人から届く多くのメッセージが、
静けさを求める彼女の心の負担になっている。

彼女にとって、それらが ” 騒々しい声 ”
のように思えてしまったのでしょう。

LINEに感じていた ” 騒がしさ ” を
放課時間の雑然とした教室に置き換えることで、
” いつもの日常によくある風景 ”
として片づけようとしています。

また、現在、彼女が置かれている状況を
中学時代の教室に置き換えることで
都合の良い状態を作ることができる。

教室では彼女は生徒の一人です。
グループの中心でもイベントの運営者でもない。

そして、教室が騒がしいのは
彼女の関知するところではない。

いずれは、チャイムが鳴り、
放課時間が終わるまで耐えていれば済むのです。

この夢における中学校の教室という舞台設定は、
現在、彼女が抱えている問題を処理するのに、
丁度、都合が良かったのです。

*

” ところで、夢の中で女生徒二人は
何をあなたに話していたんですか? ”

” 何の話なのか全くつかめませんでした。
私が関係していることだと思うんですが、
思い出せないといった感じで・・ ”

夢の中で彼女に話しかける二人の女生徒は、
まさに、見知らぬ人から届くメッセージ
そのものを表しています。

そして、彼女がグループ全体を把握できずに
困惑している今の状況をこの場面で
再現しています。

潜在意識がフォーカスする時点

さて、今回の夢では舞台設定が学生時代
になった理由は、現在、抱えている問題を
処理するために必要だったからです。

つまり、舞台設定が何時代であれ、
結局は、潜在意識は ” 現在 ” の問題に
取り組もうとしているわけです。

潜在意識が夢に必要だと判断すれば、
あなたが生まれてから現在までの記憶の中から
テーマに沿った最も適した時代や場所を
チョイスするでしょう。

潜在意識は、意味もなく夢の中で
過去を振り返ったりすることはありません。

私たちが思うよりも、
現実を直視して夢を作っているのです。

*

例えば、過去のトラウマが夢になるという場合、
それは過去を振り返って苦しんでいるのではなく、
” 同じことが繰り返されないか ” という
現在に対する不安によって作り出されたものです。

あなたが、もし、過去のことを思い出し、
くよくよして嫌な気分になったとしたら、
今夜、過去の夢を見るかもしれません。

しかし、潜在意識にとっては、
” 過去のことにくよくよしている現在のあなた ”
を夢に描いてるに過ぎない。

あなたが過去ばかりを振り返っていれば、
潜在意識は過去にフォーカスし、
あなたが前を向いて生きようと思えば、
潜在意識は未来にフォーカスするようになる。

そして、それに従って夢は作られる。

もし、あなたが学生時代の夢を見たら、
まず、現在について考えてみてください。

そして、なぜ、夢の舞台が学生時代
でなければならないのかを問いかけるのです。
 

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