夢の中の ” 好きな人 “|それは、恋の成就を暗示する夢か?

もし、あなたに片思いの異性がいるならば、
そして、その思いが強ければ、いずれ、
その人の夢を見ることになるでしょう。

そして、その夢が何を意味しているのか、
知りたくなる。

それは、必然です。

夢は願望を映し出す。

だから、好きな異性が登場したとしても、
それは、その人の願望が描かれているだけで、
恋の進展を暗示しているわけではない・・

と現実的な解釈をすることは可能です。

ただ、夢とは、そんなに
簡単に片づけられるものではないのです。

果たして、あなたが見た意中の人が登場する夢は、
単なる願望夢だったのでしょうか?

それとも、恋の行方を示す
未来への暗示なのでしょうか?

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友達以上、恋人未満

次は、とある十代の女性が見た夢の一例です。

通学路の途中にあるコンビニで
意中の男子生徒を見かける。
 
彼は見知らぬ女子と店内から出てくると
停めてあった自転車にまたがる。
 
女子は立ったまま彼に話し続けている。
 
自分は物陰から二人を観察している。
 
女子は自分よりは可愛くない。

十代の女の子が、好きな人を
夢に登場させているという一般的な夢です。

例えば、猫を飼いたいと思い続ければ、
いつか猫の夢を見るでしょう。

それと同じく、
願望夢の一種と言うことも出来る。

*

ただ、この夢には、意中の人物とは別に
もう一人登場人物がいます。

架空の女子生徒。

その女子生徒は彼の恋人のようにも、
単なる友達のようにも見えたと言います。

夢の中で、彼女はそれを見極めるために
自転車にまたがる彼の後ろに女生徒が
腰かけるのかどうかを遠くから観察していた。

二人の会話はなかなか終わらず、結局、
途中で目覚めてしまい結果が分からなかった。

潜在意識は、目覚めそうになっている
彼女の意識を夢に留めるために、
二人の会話を出来るだけ長引かせているのです。

もし、彼がその場を走り去ってしまえば
答えが明らかとなり、
彼女は夢を見続ける理由が無くなる。

また、女生徒が後ろに乗ったとしても、
はやり、夢を見続ける理由は無くなります。

だから、二人は話し続けなければならない。

目覚めの直前には、こうした
答えを引き延ばす演出がよく使われます。

それは、眠り続けるために
潜在意識が仕掛けた ” ギミック ” なのです。

ライバルの役割

さて、夢の中では、彼女は、
遠くから二人の様子を眺めているだけ。

この夢の作り手は彼女自身ですから、
彼とガールフレンドらしき女生徒を
キャスティングしたのも彼女。

となると、一つの疑問が浮かびます。

意中の人が登場するのは
” 会いたい ” という気持ちが、
形になったと説明出来ますが、同時に、
彼女は、なぜ、恋のライバルのような
存在を用意したのでしょう?

不都合な存在ならば、最初から
夢に登場させなければよいのですから。

*

これは彼女の夢です。

意中の人を登場させ、自分が
好きな人の自転車の後ろに腰かける夢を
作ってもよかった。

しかし、自分は遠くから、
ただ見ているだけという、あえて
彼と距離を置いた設定を選んでいます。

その方が彼女にとっては都合が良いのです。

そのような出来過ぎた設定に、
自分に自信が持てなかった彼女の心は
耐えられなかった。

幸せが返ってストレスとなる。

潜在意識は、そこに丁度良い距離感を与えて、
平常心を保とうとしています。

架空の女生徒には、
二つの役割が与えられています。

一つは、女生徒がいることで、
彼女は物陰に隠れ続けることが出来る。

もし、いなければ、勇気を奮い立たせて、
彼の元へ歩いていかなければならない。

それは彼女にとってプレッシャーです。

彼女自身をその場に足止めし、
” 今は身動きが取れない ” という
口実を作るため。

もう一つは、” 盾 ” という役割です。

好きな人と距離を置きながらも、
その一方で
” 誰かと出会ってもらっては困る ”
という彼女の中の独占欲が、
それほど可愛くない女生徒を
意中の人にまとわりつかせている。

それによって、彼女は遠隔から、
他の女性との出会いを妨害することが出来ます。

*

夢の中で、意中の人は自転車に乗ったまま、
その場を去ろうとしているが、
話しかけてくる女生徒の相手をして
動けないようにも見えた。

彼は、女生徒の会話に付き合わされているだけで、
気持ちがあるわけではない・・
というシチュエーションです。

そして、女生徒は、彼女の見る限り、
平凡なルックスでとりわけ美人でもなく、
自分よりは可愛くなかった。

自分よりは可愛くないわけですから、
彼女に勝算の可能性を残しつつ、
二人が両想いになることは無い
という保険をかけています。

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夢を見る ” きっかけ “

ここまでの解釈から言えば、この夢は、
彼女が意中の人に抱く微妙な恋心が
描かれているように見えます。

意中の人に近づきたいと願いながらも、
勇気の無さがあえて距離を置く設定を選んでいる。

彼女は、恋の成就を期待しながらも
心のどこかで行動することを恐れ、
言い訳を探しているのです。

*

さて、この夢は、彼女の矛盾した
恋心が描かれていますが、
果たして、それだけなのでしょうか?

筆者は、彼女に尋ねました。

” この夢を見るきっかけになりそうな
出来事に心当たりは? ”

彼女は、特に思い当たるような事は無い
と答えます。

つまり、何の脈絡も無く、
意中の人が登場する夢を見たわけです。

夢が作られるには、
それなりの ” きっかけ ” があります。

例えば、彼女が前日に意中の人を
実際にコンビニで見かけたとか、
就寝前に彼についてあれこれ考えていたとか、
バレンタインデーが近づいている
というような ” きっかけ ” があれば、
彼女の中の願望が触発され夢が作られる。

これは、一般的な願望夢が作られるプロセスです。

*

夢が作られるきっかけが、必ずしも
夢を見るよりも前の出来事とは限りません。

つまり、夢を見た後に起こる出来事を
きっかけに作られる場合がある。

いわゆる予知です。

彼女に本当に夢を見た原因に心当たりがない
というなら、それは過去をきっかけにした
夢では無いのかもしれません。

では、それが仮に ” 予知 ” ということなら、
彼女には、一体、どんな出来事が
待ち受けているのでしょう?

夢の内容をもう一度思い出してください。

彼女は、わざわざライバルを配置して、
意中の人から距離を置こうとしています。

そもそも現実世界では、彼女と意中の人との間には、
今でさえ十分な距離があるというのに。

なぜ、夢の中で、わざわざ
距離を置くための設定を描いたのでしょう?

つまり、彼との距離が近くなる出来事が
待っている。

だから、彼女は怖くなって、
急いで距離を置く夢を作った。

*

と言っても、予定されている出来事が、
恋の成就に繋がるかどうかは定かではありません。

単に一時的なイベントを
暗示しているだけなのかもしれませんし、
距離が縮まったと、彼女が勝手に
思い込むだけでも夢は作られる。

例えば、一週間が過ぎ、
すっかり夢を忘れていた彼女は
いつも立ち寄るコンビニで買い物をして
レジの前に立つ。自動ドアが開き、
偶然、意中の人が入ってきて
自分の後ろを横切ったという出来事が
あったとしましょう。

単なるすれ違いですが、
一瞬でも距離が縮まったことには違いなく、
彼女がそれによって動揺したことには変わりない。

潜在意識は、彼女の心を見て夢を作るのであって、
現実世界における事実であるかどうかは
見ていないのです。

極論、彼女が両思いだと勘違いすれば、
潜在意識は両想いを暗示する夢を作る。

冷静な視点で

さて、あなたが、もし、
意中の人が登場する夢を見たとしたら、
まず、落ち着いて夢を観察してください。

若い女性は、こういった夢を見ると
すぐに恋の発展を期待してしまうものですが、
はやり、冷静さは必要なのです。

無論、それが、
単なる願望夢という場合もありますが、
必ずしも、そればかりではなく、
未来の出来事を暗示している場合もある。

そして、未来で起こる出来事とは、
夢のような奇跡ではなく、何となく
予想出来る現実的なイベントだったりする。

潜在意識からのメッセージに
過度な期待をかけていないか、
自分自身に問いかけてみることが大切です。

もし、期待を破られた失望感から、
” 心の声 ” への関心を失ってしまったとしたら、
それは、とても勿体ないことです。

*

夢は、それほど単純ではありません。

恋愛運が上昇しているのか、
下降しているのかを星占いやタロット占い
のように判断出来るならよいのですが、
夢に関しては、それは不可能なのです。

どうしても、” 自己分析 ” という
地味な作業と向き合わなければならない。

ただ、それは、
思ったほど難しいことではありません。

人は誰しも自分を見つめ直す瞬間があります。

自分は、何者なのか?
本当は、何を望んでいるのか?
何をすべきなのか?

自身に投げかけられた数々の問い。

それが、単に自分の見た夢から
出発するというだけのことです。

夢は、謎解きパズルというよりは、
心の風景を描いた映像作品です。

潜在意識は、無論、
あなた一人のために夢を作っている。

つまり、あなたの心に、
通じるように夢は作られているのです。

 

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