夢の中で推理小説を読んでいたり、迷路や
パズルを見ながら頭を捻っているという夢。
例えば、仕事やプライベートで解決しな
ければならない問題を抱えている時に、
そういった夢を見ることがあります。
人が現実世界で抱えている問題は、
簡単には解決しないというのが常です。
もし、すぐに解決出来るなら、
就寝前に考え事をする必要もありませんし、
それに関する夢をわざわざ作る必要もない。
そういった意味で、解決出来ない問題ほど
夢になりやすいと言えるかもしれません。
潜在意識が、その人が抱えている
切実な問題を夢の中で雑誌に掲載された
クロスワードパズルのように、それが
解けなくても何の責任も影響も生じない
簡単な問題に置き換えて処理しようと
しているのです。
もちろん、置き換えたところで
現実の問題を解決出来るわけではない。
ただ、一時的にでも誤魔化すことが
出来れば、心置きなく眠ることが出来る。
潜在意識が夢を作る理由は、
” 心の負荷 ” を少しでも減らすことなのです。
広告
スイス民謡の謎
筆者自身が同じ日の朝、続けて見た二つの夢
を紹介しましょう。まず、一つ目。
” おお、ブレネリ、
あなたのおうちはどこ・・ ”
大きなボリュームで歌が聞こえる。
” おお、ブレネリ ” とは、皆さんも聞いた
ことのあるスイス民謡のメロディーに
日本人が作詞をした有名な歌です。
かなり大きな音だったので、聴いた瞬間、
目覚めてしまいます。
*
筆者は、なぜ、今、この歌が出てきたのか、
全く身に覚えはありませんでした。
スイスについて考えていたわけでも、
引っ越す家を探していたわけでもない。
ただ、この歌を聞くと必ずこう思うのです。
” オブネレリ ” なのか、
” おお、ブレネリ ” なのか、どっちだ?
正解は後者らしいのですが、あの当時は、
よく分からないという認識でした。
別に、どうでもよい疑問だったので、
いちいち調べようともしなかったのです。
当時の状況は忘れてしまいましたが、
就寝時に何か考え事をしていたのでしょうか。
心に引っかかっていた考え事を夢の中で、
たわいないスイス民謡の謎にすり替えて
誤魔化そうとしているということだと
思います。
マッチ棒クイズ
次の夢は、最初のスイス民謡の夢から
目覚め、意識もうろうとしている状態で
夢解釈を考えている最中、眠気によって、
再び意識を失ったときに見たものです。
2本のマッチ棒が間隔を開けて、
平行に置かれている。
マッチ棒にいっさい触らずに長い一本の
マッチ棒を作らなければならない。
マッチ棒を真横から眺めてみる。
マッチ棒クイズを解いているという短い夢。
この夢の意味は、明らかです。
スイス民謡の夢を読み解こうと思いながら、
眠ってしまい、夢の中で、代わりに
マッチ棒クイズを解いています。
潜在意識は、筆者の夢解釈を簡単なクイズ
にすり替えて、こう言っているのです。
” ほら、君を悩ましている問題の答えは
解けただろ? さあ、心置きなく眠りなさい ”
これも、心に引っかかっているものを
取り去りたいという一種の願望夢と
言えます。
広告
問題の軽量化
例えば、あなたが現在、頭を悩ます問題を
抱えているとしたら、それが夢の中で
簡単な問題にすり変わって描かれる場合
があります。
それは、日常的で些細な問題として
表現されるのです。
例えば、進路に迷っている学生が、駅で
どの列車に乗るか迷っている夢を見たり、
すでに愛の無い恋人に別れを切り出す
タイミングが分からないという人が、
ゴミ出しの日が分からずにカレンダーを
捲って調べているという夢を見たりする。
*
そのどれもが、荷の重たい問題を
夢の中で、別のものに例えて ” 軽量化 ”
しようとしている。
” 考え事が夢にまで出てくる ” と
よく言いますが、一見すると問題を描いて
いるように見えないこれら日常的な夢も、
結局は問題を描いているのです。
また、問題を置き換えたのは、
夢を見ている本人ですから、それが何を
置き換えた結果なのかを知っている。
夢の中で列車に乗り込んだ学生は、
駅を見送りながら言い知れぬ不安に
駆られるのです。
” この列車で良かったのだろうか?
本当はあっちに乗るべきだったのでは? ”
列車を乗り間違えたなら途中で降りれば
済む話ですが、実際は ” 人生の進路 ” を
選択したことを彼は自覚しているので、
何でも無いことでも、なぜか深刻な問題に
思えてしまう。
もし、簡単なパズルを解き続けたり、
スマホゲームで何度もトライしている
という夢を見たら、自分の私生活で
何か解決できていない問題が無いか
振り返ってみましょう。
ただ、より深刻な問題を抱えている
という場合は、パズルよりは悪夢として
描かれることがあります。
*
潜在意識は、夢の中で私たちを設定によって
誤魔化すわけですが、明らかに実際の問題と
不釣り合いな設定では誤魔化しきることが
出来ない。
会社でクビになりかけている現実を
トカゲのちぎれた尻尾に置き換えるには、
少々、無理があります。
ある程度、事実に近い印象を与えるために、
現実世界の事柄と絡めながら、錯覚を
起こしやすい演出を選択する。
例えば、仕事用のスマホを紛失する
という夢を作る。
” 仕事 ” の代わりに ” 仕事における必需品 ”
を犠牲にするわけです。
それによって、仕事そのものを失った
わけではなく、仕事を受ける窓口を失った
だけだと思うことが出来る。
そして、犠牲になったスマホは、最悪、
痛い出費ではあるが買い直せば解決できる。
” 仕事に関する何かを失う ” という
現実だけは受け入れながら、
何を失うか、という部分を選択する。
本来の問題を、より都合の良い問題へと
置き換え、気休めを図るのです。
潜在意識の性質を踏まえて、夢に描かれた
問題と現実の問題を照らし合わせて
探っていく必要があります。
広告