心配事が夢の中で実現する|それは予兆?

今、抱えている心配事が、しばしば夢になることがあります。

心配事に対する不安が大きければ、それだけ潜在意識に夢を作る動機を与えるわけです。

そして、そういった夢は大抵、悪夢として描かれる。

よくテレビドラマでも、心配したことが夢の中で実際に起こり、冷や汗をかいて飛び起きるという場面がありますが、あのシーンは、ある意味、世間一般に誤解を与えてしまっているかもしれません。

とは言え、心配事が夢になるというのは、実際に誰もが一度は体験していることでしょう。

そんな時 ” 心配事が本当に実現するのでは? ” と思ってしまうかもしれない。

果たして、その夢は心配事が実現してしまう予兆なのでしょうか?

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一方的な片思い

次は、とある女学生の見た夢の一例です。

放課後の校内。

靴を履いていると好きな人が通りかかる。

勇気を出して話しかけるが、完全に無視される。

学校の日常を舞台としたリアルな設定の夢になっています。

この夢を見た女性は高校生で、現在、他のクラスに好きな男子生徒がいるということでした。その男子生徒とは話したことはなく、彼女の一方的な片思い。

こういった経緯があり、今回の夢を見たということで、もし、行動を起こせば夢と同じ結果が待っていると、彼女は思い込んでいるようでした。

では、実際のところ、この夢は何を伝えているのか?

一見すると、失恋した状況を単純に描いているように見えますが、一つだけ引っ掛かる点があります。

この夢は、現在、抱えている問題がどうなるかではなく、彼女が行動を起こした場合にどうなるか、という心配事を描いている。

つまり、彼女が行動を起こさなければ、この夢が実現する可能性は無いわけです。

彼女は回避できるはずの悲劇を心配している。

なぜ、それほどまでに自分を追い込んでいるのか? 筆者はその理由が、この夢を解く鍵だと感じました。

筆者は尋ねます。

「行動を起こさなければ何事も無く済みそうですが、何かそうしなければならない理由があるのですか?」

彼女は、次のように答えます。

「ダメな自分を変えたい」

彼女の心配事

セッションを通じて感じたのは、彼女は、自分の消極的で暗い性格について強いコンプレックスを抱えているということでした。

常日頃から変わりたいと願っており、自らに強いプレッシャーを課していた。

こうして、彼女が何を抱えながら学校生活を送っているのかを知ると、別の視点が見えてきます。

この夢は、一見、恋愛をテーマにしているように見えますが、実際は、彼女のコンプレックスを克服するために作られたものです。

彼女にとって、好きな人に話しかけるということは、自分を変えるためのステップの一つ。

さて、夢の中では果敢に行動を起こし、好きな人に話しかけます。しかし、無視されるという悲惨な結末。

彼女いわく、振り向くでもなく、避けられるでもなく ” 無視される ” というのは、最もショックを受ける態度。

この夢の作り手は彼女自身なので、夢の中で彼女は、あえて、好きな人に最もしてほしくない態度をさせていることになります。

なぜ、そのような結末にしたのでしょう?

筆者は、もしかして、彼女は初めから恋の成就を望んでいないのでは? と思いました。

しかし、それでは、彼に話しかけた後に、無視されるかもしれないという心配をする必要が無いように思えます。

そこで、筆者は次の質問をしました。

「もし、本当に話しかけた結果、あなたが心配されてように、無視される可能性は実際にあると思いますか?」

すると、彼女は以外にも次のように言います。

「そのことについては、心配していません」

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大きな勘違い

そう、筆者は、てっきり彼女が、片思いの相手に冷たくされることを心配しているのだと思い込んでいたのです。

そうではなく、彼女は ” 結局、変われなかった自分 ” ” 何も出来ない自分 ” という結果になることを心配していたのです。

ゆえに、この夢の意味を確かめたかった。

そもそも、彼女は好きな人と付き合いたいとは思っておらず、むしろ ” もし、そうなったら自分には荷が重すぎる ” と言います。

確かに、夢の中でも話しかけているだけで、別に告白をしているわけではありません。

また、彼に ” 無視 ” という最もショックを与える態度をさせているのも、結局、後腐れなく片思いを綺麗に終わらせたかったからなのでしょう。

元々、恋の成就を望んでいないのですから、後は清く散ることが出来れば、彼女としては完結したことになります。

潜在意識が今回の夢を作った目的は、恋の成就ではなく ” 自分を変えること ” です。

この夢は、その目的を達成している。

今回の夢は、物事には多面性があるということを示しています。

好きな人に冷たくされることも、確かに懸念すべき事でしょう。しかし、彼女にとっては、それよりも大きな気がかりがあった。

人が抱えている不安とは、必ずしも一つとは限らない。そして、それら不安には、無視してよいものもあれば、すぐに対処しなければならないものもある。

彼女の潜在意識は、恋の成就よりも優先すべき課題があることを自覚していたのでしょう。

ドラマの中の悪夢

冒頭で述べたドラマのシーンについて、筆者が誤解していると言ったのは、その描き方が夢の本質から外れているように見えたからです。

潜在意識は目的を持って夢を作ります。夢を見る本人にとってメリットがあるから夢を作るのです。

例えば、悲惨な交通事故のニュースを見た夜、あなたが交通事故に遭って、瀕死の重傷を負う夢を見たとしましょう。

あなたは恐怖のあまり、ベットから飛び上がって目を覚ます。

まさに、ニュースが心の中で気がかりとなり、それをきっかけに夢は作られたわけですが、よく考えてみると、おかしな状況です。

潜在意識は、自分が車に轢かれる夢を作って、どうしようというのでしょう?

あなたにとって、何のメリットがあるのでしょう?

単に痛々しいだけです。

夢とは常に、都合良く書き換えられる性質があります。書き換えているのは、無論、夢を見ている本人なのですが。

それが例え、未来の出来事を暗示するものであっても同じです。

だから、交通事故の暗示として、事故の状況をストレートに描く動機が無い限り、鏡に映すかのように事故がそのまま描かれることは無い。

ここで、次のように思う人もいるかもしれません。

” ストレートに事故の状況を夢で伝えれば、目覚めてから対処出来るかもしれない。本人にとって、それはメリットでは? ”

この疑問が浮かんだとしたら、夢の本質を誤解しているのです。

潜在意識にとっては、出来事を察知した時点が ” 今 ” なのです。

厳密には、感じ取ったイメージが、視覚から受け取った現在進行形の出来事なのか、インスピレーションによって得た未来の出来事なのかを、潜在意識は判別することが出来ない。

どちらも最終的には、イメージとして受け取るので。

夢は、あくまで ” 今そこにある危機 ” に対処するために作られる。

なので、私たちに知らせる以前に、潜在意識自らが出来事に対処しているのです。

それを、私たちは ” 夢 ” という形で目撃する。

潜在意識が見ている世界が私たちの時間軸よりも、少しばかり先にあるというだけです。

未来の暗示についての詳細は、他の記事に譲るとして、話を戻しましょう。

もし心配事が夢になったら

ずっと心配事について考えていれば、それは、必然的にいつか夢になるでしょう。

常に、恋人の浮気を心配しているなら、そのうち恋人の浮気現場を目撃する夢を見ることになります。

それを浮気の暗示として捉える前に、まず、その夢を見たときに何を感じたかを思い出してみてください。

” ほら、やっぱりね。私の思ったとおりだった ”

現場を目撃した時、自分の勘は正しかったという ” してやったり感 ” が、ありませんでしたか?

その夢は、恋人の行動を言い当てた満足感を得るために作られているわけです。

または、浮気を疑い続けることに疲れ始めているなら、いっそのこと浮気現場を目撃して、綺麗さっぱり恋人と別れたいという思いから、浮気現場の夢を作るかもしれない。

いずれにせよ、何らかの目的を達成するために夢は作られる。

もし、あなたの心配事が夢になったとして、まず、その夢がなぜ作られたのか、理由を探るところから始めてみてください。

いきなり、何もかもすっ飛ばして ” もしかして現実になるかも ” とは思わないように。

夢には意味があります。そして、それが作られる理由もある。潜在意識が意味の無いことにエネルギーを浪費することはありません。

当たり前に聞こえますが、それが潜在意識の本質であり、夢の本質なのです。

 

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