夢の中で流れている音楽|BGMによる効果

夢の中で、しばしば、音楽が流れている
ことがあります。

その音楽はスピーカーから流れている
わけでもなく、遠くから聞こえてくる
わけでもない反響音の無い音。

それは、あたかもテレビドラマのBGM
のように場面背景で聞こえている ” 演出 ”
としての音です。

通常、映画やドラマではBGMは、
ストーリー展開に合わせて、そのシーンを
盛り上げるために使われるものですが、
夢の中のBGMは、少々、使われる目的が
違います。

夢は、そもそもエンターティメントでは
ありませんから、その場面と音楽がマッチ
している必要もありません。

全く、内容と合っていないBGMが、
無理矢理、ねじ込まれているとしたら、
そうしなければならない理由があるのです。

では、夢の中でBGMが使われる理由とは、
どういったものでしょう?

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胸騒ぎの理由

次は、とある男性が見た夢の一例です。

オフィスで仕事をしている。
 
サンバのような音楽が、
ずっと流れている。
 
二人の社員が腕を組んで話をしている。
 
祝賀会の打ち合わせにしては
深刻な面持ちだ。

オフィスの日常的な風景に全く似つかわしく
ないサンバ音楽がBGMのようにかかっていた
と言います。

それは、オフィスの中で流れていたのでは
なく、彼だけが聞こえている状態だった。

潜在意識は、なぜ、殺風景なオフィスに
そのような明るく賑やかな音楽を付け加えた
のでしょう?

通常、夢は、それを見る本人によって脚色
されます。都合の悪いことを都合よく
書き換える性質があるのです。

例えば、目覚まし時計のアラームを
夢の中で携帯電話の着信音にすり替える。

目覚ましならば起きなければなりませんが、
着信音なら無視して眠り続けることが出来る。

こういったタイプの夢を
” 願望夢 ” とも呼びますが、この性質は
未来を暗示する夢にも同じく現れます。

つまり、潜在意識がこの先起こるであろう
都合の悪い出来事を前もって、夢の中で
回避、もしくは緩和しようとするのです。

この性質によって、未来を暗示する夢は
出来事そのものを描かず変化球を投げてくる。

そして、変化し過ぎたそれを見て、
私たちはその夢が未来の暗示であることに、
気づかず見過ごしてしまうのです。

では、話を戻しましょう。

この夢で不自然にも付け加えられた
サンバ音楽は、一体、何のために
取り入れられたのか?

サンバのリズムは、明るく賑やかな雰囲気を
作ります。なぜ、オフィスを通常よりも、
明るく賑やかにする必要があるのか?

それは、今後、オフィスが暗く深刻な状態に
なるからです。

潜在意識は、夢の中のオフィスに漂う暗い
空気を打ち消すために、あえてサンバ音楽を
BGMとして選んでいる。

また、サンバ音楽は軽快で弾むような
リズム。彼の感じたソワソワした胸騒ぎを
軽快なサンバリズムを聴いているせいにして
誤魔化そうとしています。

しかし、実際、彼が感じているものは、
楽しい意味の ” 胸騒ぎ ” ではなく、
悪い出来事に対するものです。

カモフラージュされたイベント

二人の社員が深刻な面持ちで祝賀会の
打ち合わせをしている。彼自身、夢の中で
打ち合わせをする二人を見ながら、

” 祝賀会のことで、何か問題があったのかも
しれない ” と思った。

ただ、ここまでの解釈を見る限り、これが
単なる祝賀会の打ち合わせではないことは
何となく察しがつきます。

表面的には ” 祝賀会 ” であっても、実際は
別のイベントなのかもしれません。事態を
深刻に受け取らないためのカモフラージュ
の可能性もあります。

数日が経過した頃、彼の耳にとある噂が
入ってきます。最近、市場に投入された
新製品の売れ行きが好調だという知らせです。

彼が説明するには、薄利多売型の新製品は
火がつくと恐ろしいほど売れると言います。

薄利多売ですから経営者は利益を出すために
なるべくコストを抑えようとする。無論、
人手を増やすなど、論外。

彼は新製品の売上増加によって、自分たち
現場の人間に負荷がかかることを心配して
いたのです。

このエピソードを聞く限り、夢の中で彼が
感じていた胸騒ぎの理由は、
” 新製品が売れ過ぎてしまうこと ”

そして、新製品がヒットすることは、
会社全体としては喜び事。つまり、
夢の中の ” 祝賀会 ” は、そのままの意味
だったのです。

しかし、現場で働く彼にとっては、決して
歓迎できる催しではない。ゆえに、二人の
社員が深刻な面持ちで打ち合わせをしている。

彼にとっては、祝賀会が開かれるほど
新製品の売れ行きがあることは、まさに
” 問題 ” だったのです。

エレクトリカルパレード

さて、明るく賑やかな音楽が全て深刻な
状態や陰鬱な雰囲気を相殺するために
使われるかと言うと、そうとは限りません。

例えば、明日ディズニーランドに行く
予定の人が、前日の夜に夢の中で
エレクトリカルパレードを聴くことが
あっても、それは、その人のはやる心が、
一足先にディズニーランドの雰囲気を
再現しているだけです。

もし、予定も無いのにディズニーランドの
夢を見た場合は、また、別の解釈が必要に
なるでしょう。無論、それが単なる願望夢
である可能性も十分あります。

夢の中のBGMは、あくまで演出の一つなので
音楽の曲調だけで良い悪いを決めることは
出来ません。

また、それが知っている曲なら、その曲に
まつわる記憶やエピソードが夢の意味を
解く鍵になる可能性はあります。

例えば、流れていた曲がチャイコフスキーの
” 白鳥の湖 ” ならば、それは、魔法使いの
呪いによって白鳥の姿に変えられてしまった
娘が王子の愛によって救われる物語ですが、
” 今の自分は本当の自分ではない ”
という状況をこの選曲で伝えてようとして
いるのかもしれません。

もしくは、恋人に鍵のかかった心の扉を
開けてもらいたいという融和の表れなのかも
しれない。

あるいは、友人と以前、見に行った
演劇繋がりで、友人のことを思い出して
欲しかっただけなのかも。

夢を解釈するために、その夢が作られた
理由を理解し、分析することが大切だという
本質的な話です。

そして、その解釈はケースによってどのよう
にも変化する。ルールはありません。
いずれにせよ、BGMだけで判断出来ることは
限られるのです。

夢のストーリー全体、そして、自分が、
今、置かれている状況など総合的な視点で、
その曲が、なぜ選択されたのかを考える
必要があります。

 

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