夢を読み解くための視点|なぜ、夢が意味不明なのか?

夢を読み解くために、本来は専門知識は
必要ありません。

そもそも、それは、あなたの中から
生まれた創造物ですから、全ての材料は、
あなたの中にある。

芸術家が自分の作品の意図を解説出来る
ように、夢の作り手であるあなたは
自分の見た夢を解説できるはずです。

しかし、夢は支離滅裂で謎めいている。
どうして、このような夢を見たのか
自分でも理解に苦しむ。

それゆえに、夢は神秘的で太古から神や
霊魂といったスピリチュアルな存在と
結び付けられてきました。

ここでは、もう少し現実的な視点で夢に
ついて見ていきましょう。

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潜在意識の視点

なぜ、私たちは、自分で作った夢を理解
することが出来ないのでしょう?

厳密には、夢はあなたが作ったわけでは
なく、あなたの潜在意識が作ったもの
だから、という言い方も出来ますが、
あなたとあなたの潜在意識は、最初から
同一人物です。

ただ、あなたと潜在意識は ” 世界 ” に
対する関わり方が根本的に違っている。

まず、現実世界とあなたの関係について
考えてみましょう。

現実世界は、あなたの外側に存在し、
あなた自身は世界の一部として存在
している。つまり、現実世界の全てを
あなたはコントロールすることが出来ない。

では、夢の世界と潜在意識の関係に
ついてはどうでしょう?

夢の世界に潜在意識自体は登場しません。
言わば、世界を作った創造主の立場
なのです。そして、その世界の全てを
コントロールする力を持っている。

ある意味、夢の世界における ” 神 ” です。

潜在意識は、現実世界に似せて作った
架空の世界にあなたをストーリーの
主人公として配置する。

つまり、夢の中で現実世界とあなたの
関係を再現するわけです。

もし、あなたが神の力を手に入れた
としたら、それをどのように使うの
でしょう?

例えば、最も高い場所から下界を
眺めたいのならエベレストの頂上に
瞬間移動する。

いいえ、それは神の視点ではありません。

あなたが神ならば、自分の立っている
地面を残して、全ての地面を8848m下に
押し下げるのです。

あくまで、世界の中心はあなたです。

海に浮かぶ船を沈めたければ、大しけに
するでしょう。存在しない動物が必要なら、
創造するでしょう。

一人の人間であることが不都合なら、
二人に分割するでしょう。

必要だと感じれば、いつでもそれを用意
できる。あらゆるシチュエーションを
一から作ることが出来る。

現実世界の常識を超えて。

私たちが自分の作った夢を理解出来ない
のは、人の視点でそのストーリーを
理解しようとするからです。

夢を作る時のあなたは、創造主として、
それを作る。ならば必要なのは、創造主
としての視点です。

信念と疑念

さて、先ほどは、夢を読み解くために
必要なものは ” 創造主の視点 ” と言い
ましたが、それとは別に、もう一つ
重要な視点があります。

それは、” 客観的視点 ” です。

言い換えるなら、冷静沈着な自己観察
ということになるのでしょうか。

自分の中に自己中心的で狡い部分がある
としましょう。

ただ、人は何かしら言い訳をして、
自分を正当化するものです。もしくは、
無関心によって善良な立場を守る。

例えば、食肉用に殺処分される多くの
家畜に対し、私たちは
” 自分とは無関係なこと ” として片づける。

しかし、生きていく上でタンパク質は
重要な栄養源、動物性食品を一切口に
しないというヴィーガンでも無い限り、
私たちの手は既に血に汚れているのです。

それ以外にも、世界には、見過ごせない
差別や迫害、過酷な労働環境、紛争から
逃れる多くの難民など、様々な不条理が
存在している。

それに対して私たちが出来るのは、
寄付をするぐらい。

全ての人は、” 自分は善良で全うな人生
を送ってきた ” などと言えるはずもなく、
もし、胸を張ってそれを主張する人が
いるなら、それは不都合な事実に耳を
塞いでいるだけです。

さて、ここで、自分は善人とは言えないと
自身で認めることが出来るか、どうか・・
それが重要です。

” 待てよ、本当にそうだろうか? ”

と、これまで正しいと思っていた考えや
自分の信念に疑問を投げかけることが
出来る人は客観視を持っている人です。

信じたことに疑念を抱くことは、とても
難しい。大抵、人は不都合な事実に内心、
気づいていながらも、都合の良いこと
だけを信じ続けようとする。

夢は、その人の本心を描きます。

ゆえに、本心に耳を塞ぐことに慣れて
しまうと、潜在意識のメッセージを
正確に受け取ることが出来なくなる。

次は、とある女性が見た夢の一例です。

待ち合わせ時間になっても
恋人が現れない。
 
何度も電話をかけるが、その度に
” もうすぐ着くから ” と言われる。

この夢は、彼女が作ったものですから、
恋人に遅刻をさせているのは、彼女自身
ということになります。

つまり、その男性と本当は会うべきでは
ないと思っている。しかし、それは
念願の恋人だったので彼女は夢を次の
ように解釈してしまうのです。

” 彼と付き合い続けるには、
忍耐が必要だというメッセージ ”

男性は、既婚者です。

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唯一の判断基準

客観視が重要である理由は、その解釈が
正しいかどうかを確かめる方法が
自身の判断に委ねられるからです。

あなたの見た夢とあなたの関係は、丁度、
試験問題と、それを作った作成者との
関係に似ています。

解答を知らなければ、問題を作ることは
出来ない。最も問題を理解する者は、
それを作った人です。

ゆえに、夢を見た本人が冷静な判断、
客観視を見失ってしまうということは、
唯一の判断基準を失ってしまうことに
等しい。

先ほどの待ち合わせの夢について言えば、
筆者は ” 会うべきではない ” という彼女の
心理を描いていると解釈したわけですが、

夢を見た彼女自身が客観視を失って
しまった状態では、この解釈は、
もはや意味を持ちません。

もし、彼女が、心の中に男性と距離を
置きたがっている自分がいることに
気づけたとしたら、筆者が解釈をする
までもなく、自ら正しい ” 答え ” を
導き出すでしょう。

そして、その答えに
” 腑に落ちる感覚 ” を得る。

夢を見た本人だけが感じ取ることが
出来るこの ” 腑に落ちる感覚 ” だけが、
唯一の判断基準なのです。

さて、” 腑に落ちる感覚 ” とは、
具体的には、どういったものでしょう?

それは、雷に打たれたかのような衝撃的な
インパクトを持つわけではない。

夢についてしばらく考えた後に、ふと思う。

” ああ、そういうことなのかも・・ ”

” 確かに、言われてみると、
そうかもしれない・・ ”

丁度、何かの拍子に忘れかけていた
昔の記憶を思い出すような淡い感覚。

そもそも、その夢は、あなた自身が
作ったものですから、その夢の意味に
全く心当たりが無いという状況は、
まず、ありません。

なので、謎が解けた時に、まさかの展開に
驚くというようなドラマティックな体験
にはならない。

大抵、何となく最初から分かっていた
ような感覚として、それは、やってくる
のです。

微妙な感覚の違い

さて、夢解釈するためには、心を客観視
することが重要と言いましたが、
それに加えて、どれぐらい深く客観視
できるかということも大切です。

” 深く ” とは、一体、
どういったことでしょう?

例えば、不快感について考えてみましょう。

” あの人見てると、
何か腹が立ってくるんだよね ”

” これといって理由は無いけど、
生理的に受け付けない ”

こういった何だかよく分からない苛立ち、
不快感は誰にでもある体験です。

それは、人に対してだけでなく、自分の
置かれている状況やニュースを見ていて
感じる時もありますが、夢の中で、
登場する人物や特定の場面で感じることも
あります。

さて、日常生活では、そうした何だか
分からない感覚を ” 生理的 ” とか ” 微妙 ”
という適当な言葉で片づけてしまうことも
出来ますが、夢解釈では、特定の登場人物
や特定の場面で感じたその感覚を掘り下げて
いきます。

例えば、あなたの夢に架空の男性が登場
したとしましょう。

その男性の年齢は、どれぐらいだったか?
服装はどうだったか? 髪型は?
何をしていたのか?

という細かな設定を追求する場合も
ありますが、それとは別に、その男性を
見た時のあなたの印象に注目していくのです。

ただ、” 嫌な感じだった ” と一言で
終わらせるのではなく、

” 見下している感じがした ”

” よそよそしくて関わりたくなさそうな
雰囲気だった ”

” 今にも噛みつきそうな殺気立った
感じがした ” など、

不快感にも、様々な種類があります。

これは、不快感だけではなく、悲しみや、
怒り、喜びといったあらゆる感覚に
言えることです。

言葉で言い表すのに苦労するぐらいの
微妙な感覚の違いまでを掘り下げて
いくのです。

呼吸

今回は、夢を読み解くための視点について
大まかに解説していきましたが、ここで
読んだことを実践するには、少々、骨が
折れるかもしれません。

それは、筆者の述べていることが専門的
であるという意味ではなく、あなた自身
の心が、容易に理解できるような単純な
ものではないからです。

まずは、自身を理解するために、
自身と向き合っていく時間が必要です。

人と人がコミュニケーションによって
理解を深め合うように、心の奥底に住む
” もう一人の自分 ” が発する小さな声に
耳を傾けてみましょう。

夢を解釈するというのは、言うなれば
” 自己観察 ” です。

それは、タロットカードや星座占い
のように、その道のエキスパートから
アドバイスを得るというような
” 答え ” が自身の外側に存在するもの
ではありません。

” 答え ” は、自身の中にあり、それを
見つけ出すという作業が夢解釈です。

夢とは、最もあなたの身近にありながら、
最も見過ごされやすいもの。

それは、” 呼吸 ” のような存在。

常に行ってはいるが、それを意識する
ことは殆ど無い。しかし、それが私たちを
生かしている。

もし、人が夢を見なくなったら
どうなるのでしょう?

表面的には何も問題が起こらないように
見えても、きっと、その歪みはいずれ
私たちに及ぶのです。

思わぬ形で。

 

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