” ドッペルゲンガー ” とは、自分と瓜二つの人物を目撃するという超常現象です。
一説では脳の機能障害によって起こる幻覚の一種とも言われています。しかし、複数の人が目撃したという事例もあり、現在も解明されていない謎の現象の一つ。
さて、超常現象については専門のウェブサイトにお任せするとして、現実世界ではなく、夢の世界で自分とそっくりな人物が登場するというケースがあります。
もし、現実世界の話なら、それは単なる幻覚だと言うことも出来ますが、夢の世界では、少々複雑です。
夢自体が、ある意味、眠っているときに見る ” 幻覚 ” の一種なのですから。
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目に見えない手掛かり
こういった夢を見た場合、夢の中で登場した ” もう一人の自分 ” を見た時に何を感じたのかという ” 感覚 ” が、とても重要になってきます。
例えば、その人物を見て、
” そう言えば、私には、遠い昔、生き別れた実の姉がいたんだ・・ ”
と思い出したなら、その設定には意味があります。
” いやいや、私に姉はいないから・・ ”
目覚めると信じがたく馬鹿げた設定なのですが、夢の中では、なぜか、ありもしない過去の記憶が蘇る。
潜在意識が演出として架空の記憶を偽装しているのです。( 厳密には、錯覚を利用して置き換えている )
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他にも、外見は自分と全く同じだが、あきらかに、未知の存在が自分の姿を借りて現れた、という印象を持ったなら、まさにそれは、あなたの姿を借りた ” 何者か ” です。
現実世界なら、その人物を見ただけでは分かるはずもありませんが、夢の中では、その人物の背景までもが第一印象で分かってしまう。
なぜか?
それは、あなた自身が夢を作っているからです。
すなわち、もう一人の自分を登場させているのも、その人物がどういった素性の持ち主なのかを決めているのも、あなたです。
一目見て、その人物の背景を見抜いてしまうのは、そもそも夢を見ている本人が、その背景を設定したわけですから、当然と言えば、当然です。
なので、もう一人の自分を見たときに、何を感じ、何を思ったのか、それが夢を解くための重要なヒントになる。
目に見える形あるものばかりが、手掛かりとは限りません。
衝撃と恐怖感
さて、夢の中で実際にもう一人の自分を見たとき、普通に考えれば自分の姿を客観視するわけですから、無論、驚くでしょう。
強いインパクトを与えるその夢に、恐怖を感じるかもしれません。
なので、先ほど説明したその人物に対する第一印象は ” 衝撃 ” ” 恐怖感 ” というものになりやすい。
そして、そのインパクトの強さから、その夢が他の夢とは違う特別なメッセージなのではないかと思うかもしれません。
ただ、インパクトがあるから、その夢は特別かと言うとそうではなく、何気ない夢である方が、重要なことを伝えている場合もあるのです。
受けるショックを和らげるために、潜在意識が何気ない風景の中にメッセージを隠蔽するからです。
インパクトの大きさによってメッセージの重要度を推測することは、あまり、意味が無い。
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さて、夢の中でもう一人の自分を発見して驚き、ショックを受ける。
これは、例えば、悪夢で幽霊や怪物に追いかけられて、怖くてたまらない、というのとさほど違いません。自分で作った夢の仕上がりに自ら驚いているだけです。
この場合、夢を見たときのショックや恐怖感というのは奇抜なシチュエーションに対する反射的なリアクションに過ぎず、先ほど説明した ” 第一印象 ” とは、区別しなければなりません。
これは、とても繊細な作業です。
判別する方法として一番良いのは、夢を見た直後ではなく、しばらく時間を置いて、落ち着きを取り戻してから、もう一度その場面を思い出すことです。
ショックや恐怖感が和らいだ分、冷静にその場面で自分が感じたことを分析できる。
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若き青年の見た夢
次は、とある青年が見た夢の一例です。
何者かに足首を捕まれて、前に進むことができない。
下を見ると、這いつくばったもう一人の自分が足首にしがみついている。
内容は、どこかに行こうとしている自分を、もう一人が阻止しているというシンプルな構成です。
筆者は、この夢を見た彼に、次の質問をしました。
「夢の中で、どこに行こうとしていたのですか?」
彼は ” 覚えていない ” と答えます。
ただ、自分はどこかに向かわなければならない、という ” 気持ちの焦り ” を感じていたと言います。
その後、筆者は質問を続けながら、セッションを進める中で、彼が、何か、現状から別の環境への変化を求めているように感じました。
「今、何か変えたい、もしくは、実際に変えようとしていることに心当たりは?」
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彼は、今の仕事について話し始めました。
現在、働いている職場は環境も良く、待遇も人間関係も何ら問題は無いが、ただ一つ、同じことを繰り返す毎日が虚しく感じると言います。
また、彼には、取り立てて ” 何かをしたい ” と思えるほどの目的も無く、筆者には、彼が ” ここでは無いどこか ” に行きたがっているように見えました。
彼は、退職を考えていた。ただそれは、取りあえず今の会社を辞めて、その後にやりたいことを探すためだと。
キャスティングの条件
この夢の最もインパクトのある部分、自分の足首にしがみついているもう一人の自分。
自分と瓜二つの人物を見たとき、どう思ったか彼に尋ねます。
彼は、もちろん夢の中で驚いた。しかし、驚きながらも、それは自分が自分を制止しようとしているのだ、と思った。
まさに彼は、もう一人の自分を見たその印象から、この夢が伝えているメッセージを直感的に理解していました。
その回答を聞いて筆者は、それ以上、質問することが無くなってしまったのです。
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今回の夢は、彼の中に ” 会社を辞めるべきではない ” と思っているもう一人の自分がいた、ということなのでしょう。
それが、彼の足にしがみつき、思い留まらせようとしていた。
このように心の中に二つの感情があり、それがぶつかり合っている状態を夢の中で描く場合、大抵は、他の人物を登場させ、衝突させるのです。
その人物とは、家族や友達、見知らぬ人物、はたまた、幽霊や怪物といった、自分とは違う存在であることが一般的です。
今回の夢では、完全なクローンが登場している。
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潜在意識が、別の姿ではなく、わざわざクローンを夢に登場させた理由は何でしょう?
例えば、自分の不道徳な行為に罪悪感を持っている人が、すでに亡くなった故人に説教される、という夢を見る。
この場合、自責の念が、故人の姿を借りて夢に登場しているわけです。
それは、夢を作る段階で、自分に説教をする役を誰にするかを決めるときに、すでにこの世にいない人が最適だった。
亡くなった人ほど、効き目のある説教が出来る人物は、他にいないので。
つまり、夢の中に自身のクローンが登場するのは、もはや、自分以外、他の誰にもその役を割り当てることが出来ない、という場合にキャスティングされる。
と言っても、夢を見ている本人に一人芝居をさせるわけにもいきません。やもえず、その夢にクローンが必要とされた。
もし、クローンが登場したら
今回のケースでは、彼が会社を辞めるかどうか、という迷いが夢になっているわけですが、彼の軽はずみな衝動を誰なら止められるか?
それが彼自身だった、ということでしょう。
友達、両親、恋人など、外野からとやかく言われるよりは、這いつくばって必死に足元にしがみつく自分の姿を見る方が、よほど、彼にとっては衝撃でしょうから。
潜在意識は、そのインパクトをあえて利用したのです。
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もし、あなたの夢に自分そっくりの人物が登場したなら、その衝撃から恐怖感を持つかもしれません。
そういったときは一歩引いて、冷静に夢の中で感じたこと、頭に過った考え、その一つ一つを思い返してください。
そして、今、自分の私生活で何が起こっているのかを、もう一度振り返ってみてください。
潜在意識が他の姿ではなく、あえて、クローンをキャスティングした意図は何でしょう?
どんな夢であっても、私たちにも理解出来るメッセージが隠れているのです。
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