昨日の出来事が夢になる時|フラッシュバック

過去の出来事が夢になるといったケースが
あります。

例えば、学校でテストが終わった後に
テストを受けている夢を見たり、
外出先から家に戻ったその日の夜、
夢の中で ” 早く家に帰らないと ” と焦って
車を走らせているなど。

すでに終わったことを夢の中で、なぜか、
もう一度やり直している夢。

なぜ、夢の中で終わったことを再現する
必要があるのでしょう?

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フラッシュバック

過去の記憶が、映像として脳裏に蘇る現象を
” フラッシュバック ” と言います。

過去に強いストレスなどを受けた場合、
その時の状況が何かをきっかけに
記憶に蘇ったり、夢の中で再現されたり
すると言った現象です。

心的外傷ストレス障害( PTSD ) などの症状
の一つとされています。

ここでは、重度の心的外傷をきっかけとした
ものではなく、日常的な夢による過去の再現
という意味で、フラッシュバックについて
見ていきたいと思います。

次は、筆者自身が見た夢の一例です。

セルモーターを回すがエンジンが
かからない。
 
何度か回しているうち、
少しだけかかるが、すぐに止まる。

実は、この夢を見た前日、実際に車の
バッテリーが上がってしまうというトラブル
に見舞われたのです。

以前から、バッテリーが古くなってきて、
時々、かからなかったりしていたのですが、
今回、寿命が来てしまったようです。

それで、仕方なく近くにあるオートバックス
に行き、バッテリーを交換した。

そして、一日が終わり、床に就いてから先
ほどの夢を見た。

さて、問題はすでに解決されているはずが、
なぜ、夢になったのでしょう?

気がかりな事などありませんでしたし、
もちろん、強いストレスがかかっていた
わけでもない。

ただ、筆者には、その夢が何を意味して
いるのか、思い当たることが一つだけ
ありました。

その頃、仕事をする気力が沸かずに、
なかなかやる気スイッチが入らなかった。
まるで、バッテリーの上がった車のように、
エンジンがかからなかった。

潜在意識は、昨日あった車のトラブルに
関する記憶を利用して、それを材料に夢を
作ったのです。

自分のやる気スイッチを入れるのは
難しいですが、バッテリートラブルならば
交換すれば済みます。

潜在意識は過去の出来事をヒントに、
特定の問題を解決可能な都合の良い形に
置き換えた夢を作った。

デスクワークの夢

つまり、筆者は過去のフラッシュバックを
夢で見たわけではなく、過去の記憶を
利用して、現在、抱えている問題を解消
しようとしているのです。

PTSDと診断された人がフラッシュバックを
見るのと、今回の夢のように日常生活の
何気ない出来事が夢になる場合とは、
そのプロセスが根本的に違います。

なので、何でもない日常風景が夢で再現
されたとしても、それは、フラッシュバック
というよりは、他の夢と同じ理由で作られた
ものだと考えた方がよいかもしれません。

では、もう一つ、夢を紹介しましょう。

仕事から帰宅したとある女性が、その夜、
次のような夢を見ます。

パソコンに向かって、入力された
数字のチェックをしている。
 
ファイルを閉じようとするが
閉じることが出来ない。

これは、彼女の潜在意識が、今日処理した
仕事をチェックしなおすように言っている
のです。

つまり、彼女の中の
” 何か見落としている気がする ”
という気がかりが夢になっている。

過去の仕事を再現しているというよりは、
その仕事が不完全であることを夢が教えて
いるのです。

翌日、彼女は昨日の仕事を再度チェック
したところ、一箇所、見落としていた部分
を見つけます。

パンドラの箱

では、トラウマを原因とする夢の中の
フラッシュバックについて、少し、
考えてみましょう。

例えば、過去に大失恋し、それがトラウマ
になっている女性がいたとします。

彼女に、新しい異性との出会いがあると、
決まってトラウマになったあの日を
夢に見る。彼女は出会いを受け入れる
ことが出来ず、心の扉を閉ざしてしまう。

つまり、潜在意識は、再び誰かを好きに
なれば、また傷つくことになると彼女に
警告するためにあの日を夢に再現した
ということなのでしょうか?

筆者は、この見方は誤りだと考えます。

そもそも、潜在意識は警告などしない。
警告する以前に自ら問題に対処する
からです。夢の中で。

夢とは問題に対して潜在意識が対処している
行為そのものです。私たちはそれを
ストーリーに参加する形で見ている。

ならば、彼女がトラウマとなったあの日を
再現した理由は何でしょう?

それは ” パンドラの箱 ” です。

彼女の心の中にある鍵付きの箱には、
目を背けておきたい忌まわしい記憶が
入っている。

そして、同時に、そこには、それを克服
するための ” 答え ” も入っている。

つまり、毒とそれを治療する血清が
同じ場所に保管されているのです。

彼女は、血清を取り出すために
蓋を開けなければならない。そのためには、
一旦は、毒に冒される必要がある。

しかし、血清は取り出すせず、
失敗に終わる。

その恐怖から、夢の途中で目がさめて
しまう状態です。

実は、その後に克服へと向かう
再生のストーリーを描くはずだった。
それを見ることなく後味の悪さだけが残る。

これが、夢の中でフラッシュバックを見る
理由だと考えます。

人の心にある光と闇は表裏一体です。
どちらか一方だけでは機能しない。

悲しみを知らない人は、
喜びを知ることも出来ない。

罪の深さが分からない人は、
それを許すことも出来ない。

全ては、一つです。

つまり、
血清は毒であり、毒は血清なのです。

 

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