充実感が無い時期に知っておきたいこと

” 毎日に充実感が無くて窒息しそうです ”

” あの頃みたいに充実した毎日を
取り戻したいんです ”

よく、そういった若者の声を
聞くことがあります。

充実感とは、すべきことが明確で
行動さえすれば、それが成果に繋がる
という迷いの無い状況で生まれる。

なので、充実感のある毎日を
送っているとしたら、
それは、単に進む方向が決まっており、
何も考える必要がない状態、つまり、
クリエイティブとは言えない
毎日を送っているということです。

一見すると、クリエイティブであるほど
充実感を得られるようにも思えますが、
実は、そうではない。

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充実感とクリエイティブな状態

例えば、画家が新たな作品を生み出す。

最もクリエイティブなのは
絵を描いている時ではなく、
何を描くかを考えている時です。

絵を描くというのは、
頭の中に浮かんだインスピレーションを
経験で培った技術でキャンバスに
描くという単なる ” 労働 ” です。

白いキャンバスに鮮やかな色彩を
載せていくという絵を描いている姿が
作品が生み出される瞬間を
捉えているようでクリエイティブに
見えるというだけで、画家はすでに
頭の中で完成した作品を
コピー&ペーストしているに過ぎない。

自分のアイデアが白いキャンバスの上で
形になっていく過程は、純粋に楽しく、
ワクワクするでしょう。

その楽しさが ” 充実感 ” です。

*

クリエイティブである状態は、
実際、それほど楽しいものではない。

ブログや小説を書いた経験が
ある人なら分かると思いますが、
何について書こうか考えている時は、
単純に疲れます。

まるで、1メートル先も見通せない
深い霧の中を歩いているようで、
あれでもないこれでもないと言って、
頭の中でシュミレーションをして、
進むべき方向を手探りで探すわけです。

そして、一筋の光が見えると、
これまで停滞していた作業が
せきを切ったかように捗り、
次から次へと文章が浮かんでくる。

後は、それをキーボードで叩き込むだけ。

インスピレーションが降りてくるまでは苦しいが、
それが明確になり、何をすべきかが分かった時、
” 充実感 ” はやってくる。

これは、プロセスなのです。

進むべき方向を定めるフェーズがあり、
それが定まった後、実際に
行動して形作るフェーズへと移っていく。

この一連のプロセスの中で
” 充実感 ” を得る。

*

それを得るには、まず、
方向を定めるというフェーズが必要であり、
これは、クリエイティブな作業で
エネルギーを消費し、とても疲れる。

充実感とは、その後についてくる
” おまけ ” のようなものです。

なので、充実感だけを求める人は、
本当の意味でクリエイティブな作業を
避けようとする心理が働く。

なぜなら、楽しくない作業は、
充実感とは程遠いからです。

よって、苦しみ抜いて進むべき道を
探すという必要なプロセスが省略され、
充実感を得られない状態へと陥っていく。

これは、単に充実感を得るためには
苦しまなければいけない。
苦しむほど、壁を打ち破った時の
感動が大きいからという感情的な話を
しているわけではありません。

壁を打ち破ることが
将来的に意義のある行為でなければ
その後に充実感は得られない。

仮に、それが薄い壁であり、
大して苦しまずに破れたとしても、
その仕事に大きな意義があれば
充実感はあるでしょう。

いずれにせよ、
インスピレーションを得るまでの
試行錯誤のフェーズから、
アイデアを形にするフェーズへと
移行する一連のプロセスがあり、
” 充実感 ” はフェーズが移行する時
ようやく生まれるということです。

インスピレーションが無ければ
何かを作るという工程は始まりませんから、
必然的に二つのフェーズはセットとして
一つのプロセスで実行される。

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” 飽き ” の本質

全体のプロセスは、こんな感じでしょう。

図1:

まず、創造フェーズ。

これは、インスピレーションを得るまで
試行錯誤し、苦悩する時期です。
このフェーズでアイデアが生まれる。

そして、創作フェーズ。

生まれたアイデアを形にすべく
行動する時期です。
この時期に充実感、言い換えれば
モチベーションが高まる。

仮に画家の例で言えば、
キャンバスの絵が描きあがるまでは
充実感は持続するでしょう。

しかし、作品が完成すればそれは消える。

*

現実的に考えれば、充実感を永久に
持ち続けることは不可能なのです。

必ずそのフェーズは終わり、
新たに試行錯誤して道を模索する
フェーズへと戻る。

” 充実感が得られなくなった ”
” モチベーションが徐々に下がっていく ”

それは、絵を描き続けることに
” 飽きた ” からではなく、
作品が完成したからです。

もしくは、完成に近づきつつあることを
悟ったからです。

アイデアが形として出来上がっていく
過程ですべき仕事の幅が狭くなっていく。

以前のように全速力で突っ走れるだけの
道のりは残っていないので、歩幅は
必然的に小さくなっていきます。

推進力を失ったことで、仕事に
遣り甲斐を感じられなくなっていく。

*

充実感が得られるのは、
創作フェーズのみであって、
実際に手を動かして作品を形に
しているときだけです。

そして、そのフェーズでは
実際は何も生み出してはいない。

上図はプロセスを単純化していますが、
このプロセスを1単位だとすれば、
実際はとても小さな単位で何度も
繰り返されたりします。

こんな感じでしょうか。

図2:

インスピレーションが浮かんで
実際に作り始めてみると、
上手く行かずに再び模索が始まるという
試行錯誤が繰り返されていく。

プロセスの1単位が小さいと、
フェーズ2の幅が狭く、必然的に
モチベーションの曲線は小さなものになります。

なので、試行錯誤中はモチベーションが
なかなか上がらないという状態になる。

*

与えられたインスピレーションが
全ての問題を解決できるほどの
インパクトがあれば、細かく刻む
必要がないのでフェーズ2の幅は
大きくなる。

それに応じてモチベーションの曲線は
大きくなり、より充実した創作活動が
行えるわけです。

また、インスピレーションによって
得られたアイデアは、その度にテスト
されるわけですが、テストの結果を
得るまでに大掛かりな作業が必要な場合も、
はやり、フェーズ2の幅は広くなり、
モチベーション曲線は比例して大きくなる。

つまり、作品が完成するまで
長い時間を要するという場合は、
その間に行く手を塞ぐ障害が無い限り、
何も考えず筆を動かしていれば
よいので、創作活動を楽しむ時間が
その分、長くなるということです。

もちろん、体力的な限界や
集中力の限界はありますから、
はやり、モチベーションを下げない
ために休息を取るといった
マネジメントは必要だと思います。

創造と創作

この一連のプロセスの中で最も苦痛なのが、
アイデアをひねり出すまでの
フェーズ1の時期です。

それは、まさしく苦痛なので、
モチベーションは低下する。

なので、モチベーションを上げることで
アイデアを効率的に生産できるという考え方は、
あまり意味が無いと考えています。

モチベーションの上昇は方向が定まった時、
すなわち、すでにアイデアが生まれた後に
上昇するので、その時点でアイデアを
生産するタイミングは終わっている。

ただ、アイデアを形にするフェーズ2で
モチベーションの維持を図ることには
意味があると思います。

単純に作業効率が上がるでしょう。
例えば、音楽を聴きながら作業を行うと
集中力が持続するといった。

また、受験生が勉強をするときに
モチベーションが必要だというのは
そのとおりだと思います。

勉強は知識の習得が目的なので
記憶するための ” 労働 ” です。

どの大学に進学するかということは
その時点で決まっているわけですから
後は合格に向けて、ただひたすら記憶、
知識の確認の繰り返しです。

勉強は得意だが、
実践に弱いという人がいます。

これはフェーズ2でモチベーションを
コントロールするスキルが高いが、
フェーズ1のモチベーションの低い状態で
アイデアをひねり出すクリエイティブな
スキルが不足しているということだと思います。

*

いずれにせよ、” 充実感 ” を永久に
維持することは不可能であり、それは、
創作物が生み出されるプロセスの中で起こる
一過性の現象に過ぎない。

” 充実感 ” は心地よく、
人々が求める幸せの一つの形だとしても、
それだけに固執するべきではないと
筆者は考えます。

むしろ、充実感を得られない
創造のフェーズこそが、
深い霧を抜け出すための一筋の光であり、
現状を打破するきっかけを与えるのです。

もし、充実感が得られずに、
自分がどこに向かっているのか分からない
といった場合は、自分がどのフェーズに
いるのかを意識するとよいかもしれません。

それが創造のフェーズならば、
その苦しみは必要なものであり、
充実感が無いという状態は当然なのです。

創造のフェーズで必要なのは、
モチベーションではなく、忍耐力です。

這いつくばって泥を舐めながら、
それでも進むスタミナであり、
暗闇の中で一歩を踏み出せる勇気です。

予め目的が定まっている
創作フェーズに長い間留まっていると
創造する力を失ってしまう。

創造することは、つまらない。

しかし、それが
あなたを救い出す ” 鍵 ” になるのです。

 

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