病院で検査したり、手術や治療を受けている
という夢を見ることがあります。
場所が ” 病院 ” というだけに健康問題、
病気を連想して、何か悪い出来事の予兆
なのではないかと、つい心配になって
しまうかもしれません。
それが例え、リアルな夢であったとしても、
ストーリーの破綻した支離滅裂な夢であった
としても、はやり、冷静な観察は必要なのです。
夢の細部に、それを読み解く鍵が落ちている
ことは、よくあることです。安易に答えを
決めつけず、まず、それを見つけることが
大切です。
では、病院に関する夢を見たら、
どのように解釈してゆけばよいでしょう?
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気持ちを察して
例えば、心配性の人が体の調子が少しでも
おかしいと、重大な病気ではないかと
疑って、インターネットで可能性のある
病気の全てを調べつくす。
そこに命に関わる病名を見つけると
頭を抱えて、検査をすべきかどうか
悩んでしまう。
こういった精神状態の中、病院に関する夢を
見たとしても何ら不思議ではありません。
健康に対する不安や執着が強ければ、
それは当然夢になる。
なので、病院の夢を見たからと言って、
” やっぱり、自分は病気なのか? ”
などと心配するのは、夢について、
よく理解していないということなのです。
それは、病気になったから夢を見た
のではなく、病気を心配する気持ちが夢を
作っている。
日頃から、
” ああ、時間を作って検査を受けた方が
いいな・・ ”
と思い続けていれば、いつか病院で検査を
受ける夢を見ることになるでしょう。
それは、トイレで用を足す夢や会社に
出勤する夢と、さほど違いはありません。
潜在意識が病院に行きたがっている
気持ちを察して、夢の中で行かせて
あげているのです。
出来事の受け止め方
次は、とある独身男性が見た夢の一例。
MRI検査を受けている。
診察室で医師が、腕を組んで
検査結果をじっと見ている。
” どこか悪いんでしょうか? ”
尋ねても、医師は目を背け、
何も答えない。
すぐ後ろで、見知らぬ女性が
シクシク泣いている。
このような夢を見たら、誰でも最悪の事態を
想像してしまうでしょう。近いうちに何か
深刻な健康問題、命に関わることが起こる
のではないかと。
この夢を見た男性は、当初、何かの病気の
治療を受けていたわけでもなく、健康な状態
にありました。
また、日頃から病気について心配ばかり
しているというわけでもありませんでした。
しかし、今回の夢を見て、
急に怖くなってしまったのです。
さて、潜在意識は、なぜ、このような
不穏な夢をわざわざ作ったのでしょう?
この夢を読み解くために
最初の鍵となるのは、夢の内容ではなく、
彼の出来事に対する ” 受け止め方 ” です。
*
例えば、もし、近い将来、彼が体調を崩し、
病院で検査を受けることになっている
としたら、そして、その検査で悪い結果が
出ることを予め知っているとしたら・・
きっと、彼に限らず、
誰しも、こう思うでしょう。
” 検査を受けたくない ”
” 結果なんて知りたくない ”
未来に悪い出来事が起こると知ったなら、
普通なら、それを夢の中でも回避しようと
します。
そもそも、夢は
その人自身が作るものですから。
しかし、この夢では、わざわざ自分から検査
を受けるシチュエーションを作っています。
悪い結果を聞きたくなければ、病院で検査を
受ける夢など作らなければよいのです。
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医師の不審な態度
医師は目を反らして彼の質問に答えようと
しない。この夢の最も注意を引きつける
部分です。
医師が質問に答えないのは
なぜでしょう?
この場合、医師に何を言わせるのか、
決めているのは、この夢を作った本人です。
つまり、
” 何も悪い所は見つかりませんでしたよ ”
と言わせることも出来るのです。
しかし、あえて、無言。
*
これは、多くの夢に見られる演出の一つで、
結果や答えを引き延ばすことで、意識を
夢のストーリーに引きつけておくための
技法です。
この技法は目覚める直前によく使われる
もので、眠り続けるためのものです。
類似した例として、
よくあるシチュエーションは、迎えを
待っているがいつまで経っても来ないとか、
スマホ操作に手こずって目的の画面に
たどり着けない、邪魔が入って仕事が
終わらないと言うような、
” もう少しで終わりそうでなかなか
終わらない ” という意地悪なシチュエー
ションになることが多い。
途中になっているそれが終わるまで
待たせるという形で意識を夢の中に足止め
しているのです。ただし、それは永久に
終わることがない。目覚めない限りは。
*
この夢では、医師は言葉を選ぶために
無言になっているわけではありません。
潜在意識は、最初から医師にセリフなど
割り当てていないのです。そもそも、
答えをじらして時間稼ぎするのが目的
なのですから。
背後に座る女性
夢の中で彼と医師とのやりとりの後ろで、
座っている一人の女性。
彼女は、まるで彼の病状をすでに知っている
かのようにシクシク泣いている。
普通ならば、医師から重要な宣告を受ける
場面に家族の付き添いがあってもよいもの
ですが、後ろに座っているのは
家族でもなく、妻でもない見知らぬ女性
だったそうです。
さて、彼に付き添うこの見知らぬ女性は、
一体、何者なのでしょう?
*
この女性は、医師が検査結果を本人に
告げる前からすでに泣いています。
家族なら、本人よりも先にそれを聞くことも
あるかもしれませんが、なぜ、彼と
何の縁もない女性がそれを先に知っている
のでしょう? あたかも家族のような振りをして。
それは、この女性が夢の核心だからです。
若干、設定に違和感が出たとしても
潜在意識は、夢を完成させるために
” 女性 ” という必要不可欠な存在を強引に
ねじ込んだ。
” もし、こんな時、自分のために
泣いてくれる人が傍にいたなら・・ ”
この夢は、彼の中の ” 独り身の孤独感 ”
が描かれている。
架空の ” 傍にいてくれる女性 ” を中心に
夢の内容が組み立てられています。
舞台として病院を選び、検査して医師から
重大な宣告を受ける。まるでドラマの
1シーンのように。
そのどれもが、彼の孤独感を埋め合わせる
というささやかな願望を満たすための
” 前振り ” なのです。
ゆえに、彼が一人で医師の宣告を受ける
わけにはいかなかった。
先ほどは、医師が無言である理由を意識を
引き留めておくための時間稼ぎと
言いましたが、この夢に関しては、
それは目覚めを妨げるためだけではなく、
女性を泣かせ続けるための演出でもある。
医師が沈黙を引き延ばすほど、すすり泣く
女性の演技の持ち時間が長くなり、
彼の願望が満たされる。
カモフラージュされた本音
この夢では、一見すると、医師の宣告が
夢の中心的な部分に見えます。そして、
夢の核心である見知らぬ女性は、
彼の後ろに座り、控えめな形での登場。
孤独を抱えながらも、本音を打ち明ける
ことが出来ない彼の微妙な心理が
このシチュエーションに表れています。
夢の中でインパクトの強い場面に
遭遇すると、そこが最も重要な部分だと
思ってしまう。
しかし、今回の夢のように本音を
認めたくない、または、隠しておきたい
という気持ちからインパクトの強い部分を
ダミーにして、夢の核心をカモフラージュ
することもある。
*
夢の舞台が病院だから、健康や病気に関する
夢だと安易に解釈すべきではありません。
むしろ、潜在意識は病気に関する
メッセージを夢にするとき ” 病気 ” を
すぐに連想してしまう設定を避ける傾向
があります。
潜在意識にとって、自らの不安を煽る
ことに何のメリットも無いからです。
もし、あなたが、病院で検査や治療を
受けるといった夢を見たなら、まず、
落ち着いて夢の細部を十分に観察して
みましょう。
細部にまで手が回らずに夢の核心が
ボロを出していることもあるのです。
今回の夢では、一見、不必要に見える
女性が、あえてキャスティングされいてる
という点がそれに当たります。
*
無論、夢には、様々なシチュエーションが
想定されます。あなたの見た夢は、
もっと違った状況を描いているのでしょう。
その意味を解き明かすことが出来るのは、
その夢を細部まで見ているあなただけ。
夢には、様々なことが描かれる。そして、
それらはあなたが受け止められるから、
夢になっているわけです。
もし、本当に受け止められない現実なら、
夢にすらならないでしょう。
つまり、夢になっているということは・・
・・そうです。
その夢は、別のものを隠蔽するための
カモフーラジュです。
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