夢の中の ” 曖昧な部分 ” |それは本当に記憶違い?

目覚めてから夢を思い返してみると、設定が曖昧で、よく思い出せないといったことがあります。

例えば、登場人物が誰だったか思い出せない。

自分は、いつの間にか追われる身となり、そうなった経緯の前後関係が不明。

気づくと見知らぬ場所におり、前にも見覚えがあるような無いような・・

こういった ” 曖昧な記憶 ”

それは、単なる記憶違いの場合もありますが、必ずしもそうとは限らず、あえて曖昧にしている可能性もあります。

誰だったのか思い出せないと言うなら、それは ” 誰でもない ” という意味なのかもしれません。

見覚えがあるようで無いというなら、すでに知っていることを別の形に置き変えて ” 知らないこと ” にしようとしている、と解釈することも出来ます。

いずれにせよ、それが単なる記憶違いなのか、それとも意図的な演出としての ” 曖昧さ ” なのかを考えてみる必要があります。

では、具体例を見ていきましょう。

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子犬の夢

次は、とある女性が見た夢の一例です。

小さな子犬が足元にすり寄り、匂いを嗅いでいる。
 
子犬は大型犬種で、大きくなったら自宅で飼うことができない。
 
自分は子犬を抱きかかえると、歩き回って貰ってくれそうな人を探すが、どこにも人がいない。
 
子犬は幼気な視線で首を傾げ、自分を見つめている。

この夢を見た彼女の話では、子犬は捨てられていたわけではなく、最初から足元にまとわりついていた。

表現としては妙ですが、強いて言うなら、

” 自分のペットでもなく、野良犬でもなく、見知らぬ犬ではあるが、以前からよく知っているという感覚 ”

と彼女は、その子犬の印象について説明しました。

無論、彼女は犬を飼っておらず、夢に登場したのは、架空の子犬だった。

果たして、この曖昧な設定は、何を意味しているのでしょう?

仮に、こう考えることも出来ます。彼女は夢の一部を忘れたのだと。

確かに、夢のストーリーの一部を忘れることは実際にありますから、その可能性は否めません。

ただ、もう一つの可能性として、あえて、その部分を描写しなかったと考えることも出来ます。つまり、潜在意識が夢を作る過程で、意図的にその部分を作らなかった・・

では、その意図とは何でしょう?

それは、子犬を野良犬でもなく、飼い犬でもない ” 曖昧な存在 ” にするために、子犬の素性を描かなかったということです。

潜在意識は、なぜ、そのような奇妙な設定を夢に取り入れたのか?

その問いに答える前に、もう少し、この夢の背景について探ってみましょう。

素性不明

夢占いでは、” 犬 ” は、人にとっては ” 良き友 ” という意味で、” 援助者 ” を意味し、また、吠える犬は災いの警告とも言われています。

ただ、今回、彼女の話を聞く限り、夢占いの解釈とは、関係が無さそうです。

筆者が、セッションを進めて行く中、彼女が最近あった出来事について話してくれました。

彼女は一カ月程前に、SNSを通じて地元にバトミントンサークルを作った。

SNSで連絡を取り合い、メンバーを募り、コートを借りて休日にバトミントンをする。

最初は、知り合いの友達、二、三人で集まるだけでしたが、回数を重ねる度に、少しずつ参加者が増えていく状況にありました。

サークルが始まったきっかけは、友達との会話の中で彼女が何となく思いついたアイデアでした。

それは、軽い気持ちでスタートした活動だったので、当初、彼女自身には、サークルが ” 自分のもの ” という認識はありませんでした。

それから、メンバーたちとあれこれ連絡しあっているうちに、いつの間にか運営の中心的立場になってしまった。

彼女のアイデアによって生まれたコミュニティですが、はっきり ” 自分のもの ” とも言えない曖昧な状況。

始めたばかりの小さなサークルが、夢の中で ” よく知っている子犬 ” として登場しています。

潜在意識が子犬の素性を曖昧にした理由。それは、彼女にとって、今のバトミントンサークルが、まさしく、それだからです。

” 子犬は大型犬種で、大きくなれば自宅で飼うことが出来ない ”

つまり、このままサークルの規模が大きくなっていくと、やがて、その運営が彼女の負担になっていく事を潜在意識はすでに見抜いているのです。

” 夢の中で子犬を抱きかかえ、歩き回る ”

” 自分のものではない ” という認識を持つ反面、運営者としての責任も感じており、” ほっておくことが出来ない ” という彼女の気持ちがうかがえる部分です。

” 貰ってくれる人を探し回るが、人がいない ”

夢の中に人が登場しないのは、彼女自身がそれを望んでいないからです。

彼女は、ストーリーの主人公であると同時に夢の作り手でもあるため、子犬を渡さずに済む状況を作っている。

サークル運営の責任が重たいというなら、それを誰かに渡してしまえばいい。

彼女は、なぜ、渡したくないのでしょう?

” 曖昧さ ” というメッセージ

子犬が首を傾げて、彼女を見つめている最後の場面。

彼女にとって、今の小さなバトミントサークルが、世話が必要な子犬のような存在に感じられたのかもしれません。

つまり、彼女は、サークルが大きくなっていく中で ” 私が育てたもの ” という愛着を持ち始めているのです。

この夢は、彼女の微妙な心の変化を描写している。

さて、今回は、夢の中の ” 曖昧さ ” について解説しました。演出として ” 曖昧さ ” が意図的に持ち込まれることは、よくあることです。

他の部分ははっきり覚えているのに、とある場面だけが記憶が混乱して覚えていない。ストーリーや設定の辻褄が合わないという状態。

来たこともない場所に懐かしさを覚えたり、何かを運んでいたが、何を運んでいたのか思い出せない、夜だったか朝だったか思い出せないなど、

夢の世界では、現実世界では説明のしようもない矛盾が当然のごとく取り入れられます。

それは、眠っている脳が記憶違いを起こしているのではなく、” 演出 ” であり、潜在意識が私たちに送ったメッセージなのです。

なぜ、必要な場面を描かなかったのか?

なぜ、覚えていないのか?

夢の中の曖昧な部分には、夢を読み解く鍵が隠されている。

あなたの見た夢に ” 曖昧な部分 ” があるならば、潜在意識が、あえて曖昧にしているその意図について考えてみましょう。

 

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